トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ アメリカにおける「孔子学院」の相次ぐ閉鎖
外交評論家 加瀬英明 論集
このかたわら、アメリカにおいて中国のメッキが、急速に剥がれてきつつある。
中国が、インドから東南アジア、日本にかけて、あまりにも露骨に領土や海洋権益を奪おうとしているために、アメリカだけではなく、オーストラリアをはじめとする諸国が、中国を警戒し、深い不信の眼をもって眺めるようになっている。
中国が傍若無人に、アメリカの大学や、高校に金をばら撒いて、異常な宣伝工作を強行していることも、アメリカ国民の顰蹙を買うようになっている。
中国は中国語と中国文化を教えると称して、全米の大学に多額の寄付を行なって、孔子学院を設立してきた。
2013年には、孔子学院を受け入れたアメリカの大学が、100校にのぼった。これらの孔子学院には、北京の孔子学院の本部から、毎年、補助金が提供されている。
ところが、これらの孔子学院では中国語と中国文化を教えるだけでなく、中国のあからさまな政治宣伝が行なわれているために、多くのアメリカの大学の教員が反発して、閉鎖を求めるようになっている。
アメリカの大学教授たちは、孔子学院の中国人教員が、チベットのダライ・ラマ法王を誹謗し、新疆ウイグル自治区における弾圧を正当化し、学生が天安門事件を論じることを禁じていることに、学問の自由を蹂躙するものとして、憤っている。
2014年9月に、名門校であるシカゴ大学と、ペンシルバニア大学が、孔子学院を閉鎖することを、決定した。
また、2014年6月に、ヒラリー・クリントン元大統領夫人が、次期大統領選挙へ向けて、オバマ政権の一期目に国務長官として在任した4年間を振り返った、回顧録『困難な選択』が、出版された。
このなかで、ヒラリー夫人は2010年7月に、ハノイでASEAN(東南アジア諸国連合)地域フォーラムが開催された時に、国務長官として出席したところ、中国が横柄に振る舞ったことに対して、強い不快感をあらわしている。
ベトナム外相が、中国の南シナ海における横暴な行動を詰った後に、いくつかの東南アジア諸国が懸念を表明したところ、中国の揚潔篪外相(当時)が、会場を睨みまわして、「中国は大国だ。ここにいるどの国よりも、大きい」と声を荒げて、威嚇したのに、呆れたと、回想している。
ヒラリー夫人はこの本のなかで、対中政策の中心に人権問題を据えようとしたところ、オバマ大統領が米中関係を損ねることを懸念して、ホワイトハウスのスタッフたちから、強い圧力がかかったと、述べている。
アメリカの世論調査では、毎年、中国に対して好意を持っていると回答する者が、急速に減るようになっている。
アメリカはいつまで超大国でいられるか 第8章日本はいつまで、アメリカに国防を委ねるのか
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