地域情報
埼玉県内で予定されている各種イベントや地元の人や情報をあますとこなく紹介。
まさに秋晴れ。文句なしの晴天に恵まれて、川越祭が開催された。
今年は昨年より10台多い、23台の山車が賑やかに参加。
3年連続で山車の人形に注目して、今年登場の内の3体について紹介する。
◆俵藤太秀郷(喜多町)
鼠屋五兵衛作(作成年 文政9年・1826年以前)
俵藤太秀郷は東国での平将門の乱(10世紀)を平貞盛らとともに平定した人物。
この人形は29体ある山車人形の中で最も古い歴史を持つ。
小手をかざし、重藤の弓を持った勇壮な姿。
その昔、喜多町は穀物の問屋が多くあり、その扱い物である米俵の俵から、この人物が選ばれたとの説がある。
◆山王(元町二町目)
仲秀英(都梁斎)作(作成年明治4年・1871年)
山王の猿神をあらわしており、猿は日吉神社の山王権現の御使いとされる。
烏帽子狩衣姿で右手に中啓(扇の一種、畳んだ時に先端が拡がっている)、左手に金の幣束(祓いの時に使う裂いた麻やたたんで切った紙を細長い木に挟んだもの)を持ち、猿の面をつける。
旧高沢町時代の山車(明治4年以前)には猿の人形が乗っていたという。
◆鈿女(大手町)
仲秀英(都梁斎)作(作成年 明治5年・1872年)
天鈿女命は岩戸隠れの伝説にも登場する芸能の女神。
両手に鈴と榊を持ち、おかめの面をつけ、風情のある雅な人形。
ちなみに今成町の山車人形も鈿女、それぞれの味わいの違いを感じるのも、また一興であろう。
今回、外国人の姿もかなり見られた。
仲間で浴衣を着て、快活に祭の一瞬一瞬を楽しむその姿からは、ややオーバーとは思いつつ、人の普遍性といったものが感じられ、ほほ笑ましかった。
まつりは、祭事として行われる儀礼的側面、また見物人が参加する娯楽的側面、その両面から長く人々に支えられ続いてきた。
特に川越祭は慶安元年(1648年)より続く歴史と伝統を合わせ持つ。
江戸の天下祭にまで想いをはせ、悠久の昔との邂逅を感じられるこのひと時。
祭の妙味ここにあり。
小松 隆
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