トップページ ≫ 文芸広場 ≫ 段ボールは暖かいけれど、忘れてならないことがある
文芸広場
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段ボールを敷いて寝ると、意外に暖かい。
わたしが大学生だった時の学園祭での思い出のひとコマだ。
ゼミでおでん屋台を企画したのだが、その準備に時間が掛かって、結局学校に泊まった。その時は大変だったが、過ぎてみればいい思い出だ。
息子の通う大学の学園祭に行った。屋台が何店舗もあり、事前にチェックしておいた店で買って食べた。わたしの学生時代にはインターネットが普及してなかったので、ホームページで内容を事前に知るということは出来なかったが、今は便利なものだ。唐揚げと水餃子がなかなか美味しかった。息子が所属する写真部ではフィルムを現像する暗室を体験させてもらい、楽しめた。
自分が学生だった学園祭は、その準備と運営で忙しくて、祭り全体を楽しむ余裕はなかったが、部外者になってからの学園祭は客観的に楽しむことだけに集中できるので、本当に楽しかった。来年も再来年も絶対に行こう。今回は時間の都合で出来なかったが、来年はミュージシャンライブを聴くのも、ミスコン投票もしよう。
楽しい気分で帰途につき、電車のなかで学園祭パンフレットのページをめくっていると、あるページの内容に心がしんと静まった。その日は、大学に隣接する神社で慰霊の行事が行なわれていたのだ。昭和18年、当時、大学の前身となる専門学校に通っていた生徒たちは、在学生の四分の一以上が出征し、97名が帰らぬ人となったそうだ。その同窓生を祀って、毎年この時期には慰霊祭が行なわれていると書いてあった。学園祭のにぎやかさの裏側には戦争の傷跡があった。平和の裏側にあるものを忘れてはならないのだ。来年の学園祭では、神社で手を合わせよう。
檀 ままこ
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