トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 人類総墜落をもたらす「ビッグマック文化」
外交評論家 加瀬英明 論集
アメリカはグローバリゼーションの障碍となる、国々の国有な文化と、ナショナリズムを嫌って、全世界を平坦にするまで、満足しない。
公益よりも、私益を追求するアメリカの私企業が、政府を促して、アメリカニゼーションの担い手となっている。
規制を撤廃して、すべてを民営化し、商業化しなければ、気がすまない。ナショナリズムは、邪魔なのだ。
ファスト・カルチャーが、過去を捨てさせる。ビッグマック文化という俗物の物質主義が、ナショナリズムという聖なるものを、駆逐する。
グローバリゼーションは、あらゆる垣根を取り払う。
男女の聖なる区別も、あってはならない。2014年6月現在、アメリカでは17州において、同性婚が認められるようになった。イリノイ州が、17番目の州となった。
家族の絆も、弱まっている。2011年に、アメリカでは第一子の母親の46%が、未婚だった。
アメリカ、EUの大統領と首相が、2月に閉幕したソチ冬季オリンピック大会の開会式を、ロシアが同性愛を禁じていることを理由として、人権を侵害しているといって、ボイコットした。
きっと、プーチン大統領の評価が、中東、アフリカや、アジアのイスラム教圏で、高まったにちがいない。プーチン大統領がアメリカニゼーションの前に、立ちはだかった。イスラム教徒にとって、同性愛は神を冒瀆する大罪だ。
ロシアはこれらの地域で、人論と道徳を守る盟主の地位を獲得しよう。
ロシアが久し振りに国際的に影響力を、発揮することになろうと、思った。コミンテルンが解散して以来のことだろうか。
その後、ロシアがクリミアを捥ぎ取ったが、イスラム圏の人々にとっては、どうでもよいことだったろう。
かつて、共産主義が人類を輝かしい未来に導く、歴史の逆らえない流れであると、称した。信奉者たちは、共産主義が「科学的歴史主義」だと、信じ込まされていたが、人民に辛苦を強いたために、永続きしなかった。
”ビッグマック文化“こそ、歴史の最後の勝者なのだ。
世界のどこに行っても、”ビッグマック文化“の高波によって襲われて、ナショナリズムと、伝統文化が、力を萎えさせている。全世界で固有な生活文化が、根絶されてゆく。
私が訪れた「ワールドポーターズ」で、ホームページが約束した、「ショッピング・デート」を楽しんでいた若い男女たちのように、人々が根を失うようになっている。
共産主義は、「万国の労働者よ、団結せよ!」をスローガンとして掲げて、”無産階級の天国“をつくるといって、煽動したが、アメリカニゼーションは、全人類を快楽を追う消費者に変えることを、目指している。
共産主義は、ブルジョア階級を敵としたが、グローバリゼーションはナショナリズムを災いとして見立てて、国々の生活文化を破壊している。
共産主義は人々に正義感と、苦難に立ち向かう強さを求めたが、“ビッグマック文化”は、人が自堕落な快楽を欲する弱さに、つけ込んでいる。だから、訴える力が、はるかに大きい。
共産主義社会は、毛沢東、スターリン、金正恩などの独裁者が富を独り占めして、贅に耽ったが、アメリカの私企業が代わって、その役目を引き受けている。
アメリカはいつまで超大国でいられるか 第8章日本はいつまで、アメリカに国防を委ねるのか
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