トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 「レリジョン(宗教)」の語源は「縛る」の意
外交評論家 加瀬英明 論集
英語の語源は、ラテン語や、ギリシア語をもとにした言葉が多い。「レリジョンreligion」の語源は、ラテン語の「レリギオreligio」であるが、「縛る」という意味である。
神道は古道と呼ばれるが、いつ発祥したのか分からないほど古く、おおらかな明るい信仰であって、宗教ではない。
キリスト教は中東のユダヤ王国で、紀元一世紀に生まれた。地中海を渡ってヨーロッパにひろまると、それまでヨーロッパの人々の信仰であった多神教を、自分のものとして吸収してしまった。
日本において神仏が習合したのと、対照的である。秀吉と家康がキリスト教を弾圧したのは、例外的なことだった。日本に、なじまなかったからだった。
秀吉がキリスト教に対する禁令を発したが、そのもっとも大きな理由として、「キリスト教に改宗した者たちは、神社仏閣を破壊する」と、述べている。秀吉は南蛮からやってきた、バテレンと呼ばれたキリスト教の宣教師たちを、はじめは厚遇したものの、キリスト教が他神と習合することを拒んだために、キリスト教を禁じたのだった。
山や、森や、川や、海、草木や、もろもろの生物を指す「自然」という今日の日本語も、明治の訳語(新造語)である。日本には江戸時代が終わるまで、「ネイチュア」に当たる西洋語の発想が、欠けていた。
「ネイチュア」は人が自然を従えて支配し、征服するべきものとされ、未開の状態も意味している。そのために、江戸時代まで仏教用語だった「自然(じねん)」(あるがままの意)を借りてきて、訳語としたのだった。
「ネイチュア」という概念は、日本人にとって異質なものだった。今日でも、私たちになじまない。「宗教」も、「自然」も、いまでは明治の新造語であることを意識することなく、日常語として用いるようになっているが、けっして古来からあった言葉ではない。
ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか 一章 ジョンが何よりも愛した日本語のことば
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