トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 鹿島神宮で行なわれた鯨の慰霊祭
外交評論家 加瀬英明 論集
今回の東日本大震災が起こった五日後に、茨城県鹿嶋市の鹿島神宮に近い白い砂浜に、仮祭壇を設けて、宮司が鯨の慰霊祭を厳かに催した。
鹿島神宮では、高さが10メートルもある御影石の大鳥居が、激震によって倒壊した。六二基もの石灯籠も、倒れた。
神社の近くの下津浜には、震災が襲った七日前に、五二頭のゴンドウ鯨が打ちあげられた。周辺の住民が報せをきいて集まって、必死になって海へ戻そうとしたが、二二頭が絶命した。
その鯨を供養する海岸での慰霊祭では、祝詞が奏された。
掛けまくも畏(かしこ)き鹿島の大神を始め大地主大神(おおとこぬしのおおかみ)・海津見神(わだつみのかみ)・祓戸四柱(はらえどよは
しら)の大神等の大前に恐(かしこ)み恐みも白(もう)さく(略)
去(い)ぬる弥生四日という日に 此(こ)れの下津海岸にカズハゴンドウの群れが打ち上がりぬ(略)
此の処(ところ)にてあたら尊き命を落としけるカズハゴンドウの霊は迷う事なく 幸(さき)く真幸く 海津見神の御元(おもと)に導き復命
白(かえりもう)し給ひて 荒魂(あらみたま)の荒ぶる事なく 大神の広き厚き御恵の隠(かげ)ろひつつ 身も軽く心も平穏に 千代永久(
ちよとわ)に安らひ坐(ま)せと 恐み恐み白す
オオトコヌシノ大神は、特定の神を指すのではなく、その土地を守る神である。ワダツミノ神は海の守り神であり、ハラエドヨハシラノ大神は、セオリツヒメ(瀬織津比売)、ハヤアキツヒメ(速開都比売)の四柱の神の総称である。
神社で正式参拝する際には、登殿して神前にまかり出る前に、穢れを取り除き清めるために、この四柱の神を招請する。
「かけまくもかしこき、はらえどのかみのまにまに……はらえたまえきよめたまえともうすことをきこしめせと、かしこみかしこみももうさく」と祝詞をあげて、玉串を払って、穢れを清める。
鯨は『日本書紀』や『万葉集』に、「鯨魚(いさな)」「勇魚(いさな)」として登場する。「いさな取り」は鯨取りのことであって、海、浜、灘(早瀬、荒海)の枕詞となってきた。
鯨は太古の昔から、日本人の生活の身近にあった。
ジョン
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR