トップページ ≫ 文芸広場 ≫ トン・トン・トンとボロネーゼ
文芸広場
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ボロネーゼというおしゃれな響きに魅かれ、レシピ本の「時間は掛かるけどおいしい」という言葉を信じ作ってみた。ボロネーゼとはイタリアのボローニャ地方の料理で、食材はミートソースとほぼ同じで、牛肉を使い、赤ワインで煮込んで作る。
まず、タマネギ、ニンジン、セロリ、ニンニクをぞれぞれみじん切りにして、オリーブオイルで炒める。これをソフリットと言うらしい。人生、まだまだ知らないことは多い。そしてわたくし、不器用である。みじん切りは苦手。包丁をまな板の上で、トン・トン・トン。ここで軽快な素早い音を響かせたいのだが、トンとトンの間がぎこちなく長い。格好つけて早く動かして、失敗して指を切るのは嫌。ゆっくりと地道にみじん切り。この時点で時間が掛かる。さらに玉ねぎが飴いろになるまで炒める。20分位。
ソフリットは、ひとまず置いておき、牛ひき肉か合びき肉を焼き付けてからばらす。そして先ほどのソフリットと合わせる。その後、赤ワイン、トマトの水煮を入れて煮込む。一方で、グラニュー糖からカラメルソースを作って、煮込んでいるところに投入。長いこと煮込む。
パスタに絡めていただくのだが、全体で3時間近く掛かっていた。
料理嫌いのくせに、なんでこのようなものに手を出してしまったのか?逃げたい気分だが、最後まで作らないことには、家族の胃袋を満たすことは出来ない。どうにかこうにか作って、食卓に出した。
味は、感動的レベルには達することが出来なかったが、それなりに美味しかった。随分時間が掛かり、疲れを隠しきれないわたしに、家族は「この料理はきっと、最初で最後だね」と言った。
わたしの場合、手間暇掛けた料理の前に、みじん切りを素早く行う術を身に付けるべきだろう。
檀 ままこ
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