文芸広場
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先日、『夫に死んでほしい妻たち』という書籍のはなしをこの欄で書いたところ、何だか怖いとの反響があった。
確かに、本のタイトルは恐ろしくて、電車のなかで読んだら「夫に死んでほしいと思っているひと」とまわりのひとに判断されそうで、なかなか読み進めることができない。夫に対する恨みつらみがレポートされていて、読んでいて辛くなってくる。
でも、本の最後では希望の光も示唆していた。福岡市に事務局を置く「全国亭主関白協会」のことを紹介していた。「亭主関白」とあると亭主を擁護しているように聞こえるが、実際は違う。「関白」とは天皇に次ぐ2番目の地位で、家庭内では妻が天皇であるから、「関白」とは妻を補佐する役目であるとの意味だ。同協会のホームページ上では、亭主関白に役立つさまざまな三原則が掲げられている。
「愛の三原則」
ありがとうをためらわずに言おう
ごめんなさいを忘れずに言おう
愛してるを照れずに言おう
「非勝(ひかつ)三原則」
勝たない
勝てない
勝ちたくない
争わないことが真の勇者であり、勝者なのだ。
これらの三原則は、夫婦以外の関係性にも通じる点がある。恥ずかしがらずに気持ちを表現することは大切だし、コミュニケーションが勝ち負けをはっきりつけることのみに走り過ぎることは危険だ。
また、夫婦の関係は根っこの部分で自分でも普段気付いていない本音が隠れていることもある。本書に登場する妻が、夫に対して死ぬまで働けと思うのは死ぬまで一緒にいてほしいということなのかもしれないというようなことを語っている。
一筋縄ではいかない「夫婦」というもの。その関係は、過ごす時間のなかで、様々な変遷を経る。好きになったり嫌いになったり。詩人で書家である相田みつをの「にんげんだもの」ということばが浮かんでは消えた。
檀 ままこ
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