文芸広場
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先日ご近所のお爺さんが亡くなった。長く苦しむこともなく、97歳だったので大往生。もう親兄弟も友達も殆どこの世にはいないので、静かに家族葬で送ったそうだ。式を挙げる労力も経費も少なくて済み、ゆっくり故人とお別れができて良かったとのこと。
最近は兄弟も近しい親戚も少ない方が多く、故人の意向もあり家族葬で送ることが増えているようだ。自分もその時を考えると、忙しい思いをせずに静かに家族で別れの時を過ごしてくれれば良いと思う。
私の主人は地方の出身で冠婚葬祭に夫婦はセット。○○家を代表して一人、という私の実家の風習とは違う。親戚というだけでぞろぞろと子供までみんな連れて参加する家族もいる。ずうずうしくとか煩わしいとかそんなことを思って遠慮したりする感覚はなく、むしろみんなに逢いたい逢わせたいという思いのようだ。
私は長女なので少しは親戚とも繋がりがあるが、兄弟の2番手以降の人達には親戚どうし逢うチャンスもなかなか無い。本当にこれからは親戚の顔も分からなくなっていく。
そもそも親戚とは、家族の延長線にあり、助け合って行く存在だった。冠婚葬祭だけしか会う事もなくなり、そんな機会もなくなったら、もう親戚というサークルは無くなるのかもしれない。
親戚、同郷、同窓、何かと私達は島を作る。島国根性と言えば悪く捉えられる言葉だが、人との繋がりを大切にしていることが根底に有ることの現れだとすれば幸せな香りがする。
何年か前に、お墓の前で泣かないで下さい、私はそこにいません。という歌が流行ったけれど、死んだら暫くは近くにいるのだろうか。何もかも別の空間にスーッと自然に溶け込んで行くのだろうか。行ってみないとわからないことをあれこれ考えるのは、結果の出ていないニュースにあれこれコメントする番組のようなものなのだが、言える事は「いつかその日が来たら、後に残った人たちが一瞬この出来事を肴に互いの繋がりを深めて、幸せな未来に向かってくれる事を祈る」ということだろうか。仲良くやってよねって!
五嶋 立子
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