トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 中学校に入る前に親がしてはいけない80のこと 第3章 勉強のタブー(37)
教育クリエイター 秋田洋和論集
~学校の勉強を見てやっている~
小学生の子に対して「学校の勉強や宿題を見てやっています」というお母さんは昔も今も多いものです。これが中学生になると、どうでしょう。かっては「中学校の勉強はわたしにはちょっと」というかたが多かったのですが、最近では「中学校の内容も大丈夫ですから」というかたが増えています。なかには高校受験直前期に、家庭教師のように寄り添って指導するようなかたも。しかし、お母さんがたのやる気や自信とは裏腹に中学生に対する母親の指導はうまくいかないケースが圧倒的に多いのです。
その原因として、お母さんが「小学校と中学校の勉強の質の違い」を意識していないことが挙げられます。小学校時代の勉強は、とくに低学年のうちは「経験値を増やす」ことが目的とされます。いろいろなことに触れて基本的な知識を「知っておく」だけでいいのです。ところが小学校高学年あたりになると専門的な知識の「背景まで考える」ことが必要になります。中学校が教科担任制を敷くのは、こうして勉強内容の「専門性が高まっていくから」でもあります。
この変化を説明するとき、私はいつも「走り高跳び」を例に使います。高さが低ければゴム跳びのように跳ぼうがハードルのように跳ぼうが、ほとんどの子は「やったことがある」レベルで事足ります。しかし、高さが増せば好きな跳び方では通用せず、正式な跳び方を身に付け、どうすれば高く跳べるか」を考えなければなりません。
親が見てやる勉強は、九九・漢字・都道府県名・・・・・など、これまでは「知識の確認だったことでしょう。あっているか間違っているか○×をつけてやればよかったはずです。しかし中学校では違います。
○×をつけることが目的ではなく、なぜそうなるかを考えさせることが必要です。自分がとけるからといって、自分の経験や知識を子どもにコピーするだけの指導では、決して子どもは成長していきません。
その解き方は、もしかするとゴム跳びなのかもしれない。
そんな心構えで、中学校からの勉強はプロの指導者に任せたほうがいいのです。
中学校に入る前に親がしてはいけない80のこと」(PHP文庫) 秋田洋和より
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