トップページ ≫ 社会 ≫ 教育 ≫ 小池都政よりも手厚い!埼玉県の「私立高校生への学費負担軽減策」の中身と影響⑤
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埼玉県民の皆様へのお願い
私は評論家ではなく塾講師なので,経済格差が生じた原因を述べたりそもそも論で保護者の準備不足を責めたりするつもりはありません。首都圏にある日本有数の最難関高校を目指す中学生を指導する一方で,「経済的事情等で塾に通えないが学力・意欲ともに十分な生徒たちを某自治体が支援する形で設置された塾」でも目標を明確に持つ生徒には差をつけず同レベルで指導すること,これが自分に唯一できることです。こうした立場にいる者として,埼玉県民の皆様にお願いがあります。
今回の学費負担軽減策を「バラマキだ!」「けしからん!」「勉強しなくても,学費がかからず高校に行けると手を抜く者が増える」などと責めるのではなく,どうか暖かい目で見守ってあげてください。
彼らに最も必要なのは「チャレンジする機会」です。これまでは,「今後の人生の何%」かを左右するであろう受験という場面でも,経済的事情がからむとチャレンジすることすらできず,とにかく安全策をとって数ランクもレベルを下げて「確実に合格できる公立高校」を選択するしか方法がありませんでした。もしかすると,すでにチャレンジする気持ちよりも先に,諦め・妥協の気持ちが勝ってしまうことになんの抵抗も感じなくなっている者がいるかもしれません(いないと信じたいですが)。
中学生活とは,そのすべてが「未来への投資」です。その集大成となる高校受験で,自分の未来を自力で切り拓くためのチャレンジする意欲すら持てないというのは,その結果に関係なく残酷すぎますし,彼らのその後の人生にも影響を及ぼすだろうと私は思います。
「部活でもチャレンジはできるだろう!」という声もあるでしょう。確かに部活でも「頑張った」という達成感は味わえるでしょうが,本格的に鍛錬を続けない限りこの経験が未来に直接的な影響を及ぼすことはありません。その一方で高校受験は,彼らの人生において数少ない「現在の実力のみが平等に評価される機会」だからこそ,ここでの本人の選択が,彼らの人生をほんの少しだけかもしれませんが確実に左右します。
どうか,彼らに余計な不安を抱かせない環境で精一杯のチャレンジをさせてあげてください。この施策が呼び水となって 「自分の未来を自分の力で変える決意を持てた」という中学生が一人でも多くなることを,「支援」ではなく「投資」と考えて応援してもらえないでしょうか。
20年後の日本を支えるのは間違いなく彼らなのですから。(おわり)
教育クリエイター 秋田洋和
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