トップページ ≫ 社会 ≫ 教育 ≫ 【高校入試】初登場した「学校選択問題」の衝撃と今後に向けた対策について(1)
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平成29年度(2017年春)に埼玉県の高校入試で初登場した「学校選択問題」は採択した20校のレベル差もあって,「受検生の準備の質」にも大きな差があったことが予想されます。浦和高校や大宮高校といった一部の高校に向けて準備していた者はともかく,多くの受検生が問題を開いた途端に「事前に公表されていたサンプル問題とのレベル乖離」に驚いたことでしょう。もしかすると充分に力を発揮することができなかった人もいるかもしれません。
次年度以降の受検生にとっては「先輩の声」を聴けば聴くほど不安が増すことでしょう。今後どのような情報を吟味しておくべきなのか,どのような対策を講じていけばよいのかについて,一緒に考えていきましょう。
●「学校選択問題」は志望状況にどのような影響をもたらしたのか
まず,次の表の数値をご覧ください。
2017年春 「学校選択問題」を実施した20校の入試概況
学校名 |
偏差値 |
2017年春 |
2016年春 |
前年比 ①-② |
(注)2017春 |
浦和 |
73 |
1.35 |
1.29 |
0.06 |
-40 |
大宮 |
(理数)73 |
2.31 |
2.60 |
-0.29 |
|
(普通)71 |
1.34 |
1.57 |
-0.23 |
+40 |
|
浦和一女 |
72 |
1.33 |
1.36 |
-0.03 |
|
市立浦和 |
69 |
1.64 |
1.80 |
-0.26 |
|
蕨 |
(普通)67 |
1.59 |
1.54 |
0.05 |
|
(外国語)65 |
1.61 |
1.88 |
-0.41 |
|
|
浦和西 |
65 |
1.54 |
1.62 |
-0.08 |
+40 |
川口北 |
64 |
1.21 |
1.44 |
-0.23 |
+40 |
春日部 |
69 |
1.28 |
1.37 |
-0.09 |
+40 |
越谷北 |
(理数)68 |
1.66 |
1.60 |
0.06 |
|
(普通)66 |
1.21 |
1.30 |
-0.09 |
|
|
越ヶ谷 |
63 |
1.39 |
1.41 |
-0.02 |
-40 |
不動岡 |
(普通)66 |
1.43 |
1.32 |
0.11 |
|
|
(外国語)64 |
1.49 |
1.44 |
0.05 |
|
熊谷 |
66 |
1.16 |
1.24 |
-0.08 |
|
熊谷女子 |
65 |
1.18 |
1.27 |
-0.09 |
-40 |
熊谷西 |
(理数)62 |
1.37 |
1.44 |
-0.07 |
|
(普通)62 |
1.16 |
1.18 |
-0.02 |
|
|
川越 |
69 |
1.37 |
1.47 |
-0.10 |
|
川越女子 |
68 |
1.46 |
1.55 |
-0.09 |
|
川越南 |
59 |
1.49 |
1.53 |
-0.04 |
|
所沢北 |
66 |
1.60 |
1.37 |
0.23 |
|
所沢 |
59 |
1.37 |
1.26 |
0.11 |
|
和光国際 |
(外国語)62 |
1.47 |
1.88 |
-0.41 |
|
(普通)62 |
1.27 |
1.57 |
-0.50 |
|
※偏差値は,一般的な業者テストにおける「安全圏」とされる数値を基に独自算出
※倍率は埼玉県教育委員会「平成29年度埼玉県公立高等学校入学許可候補者数」より
例えば浦和高校のように,前年に比べて募集人員が40名削減されている高校は,受検者数が前年と変わらないとすれば倍率は大きく上昇します(0.08ポイントしか上昇していない浦和高校は受検者29名減)。逆に大宮高校普通科のように募集人員が40名増員されているところは,受検者数が前年と変わらないとすれば倍率は下がります(浦和西高校-0.08ポイントで受検者は26名増,大宮高校普通科-0.23ポイントで受検者19名減)。
この影響を割り引いて考えたとしても,倍率が前年に比べてマイナスとなっている(受検者数が減少した)高校が目立ちます。とくに越ヶ谷高校と熊谷女子高校は募集人員40名削減にもかかわらず倍率が下がっていますから,受検者数が大幅に減ったことがわかります(越ヶ谷高校は64名減,熊谷女子高校44名減)。この原因が「定員減の影響」なのか「学校選択問題の影響」なのかはわかりませんが,越谷北高校普通科や熊谷高校,熊谷西高校での倍率が低下していることを考えると「学校選択問題の影響」で受検を敬遠した層が少なからず存在するであろうことがみてとれます。
その理由として,2017年春に中学校を卒業した生徒たちの概況を紹介してみると,
|
2016年春① |
2017年春② |
①-② |
中学卒業予定者数 |
65,934名 |
66,120名 |
186名 |
県内公立校進学希望 |
47,763名 |
47,552名 |
-211名 |
県内私立校進学希望 |
9,874名 |
10,119名 |
245名 |
と,私立校への希望者が増加していることを挙げておきます。これには「大学入試新テストとのからみで浪人したくない」「一部私立高校の大学合格実績が伸長している」といった理由が考えられますが,これらはどれも「学校選択問題」を実施するレベルの高校にこそ影響を与えるものですから,少なからず「中身の見えない学校選択問題を嫌って,北辰テストの成績で合否が読める同レベルの私立高校を志望した」「安全策をとって志望校を1ランク下げた」受検生がいたことが推測できるのです。
次年度以降の受検生にとっては,はたして「学校選択問題」はチャレンジするに値する問題なのか,それとも避けた方が得策なのか悩むところだと思います。しっかりと「学校選択問題」の中身を知り,自分の進路希望と重ねてみれば方向性が見えてきます。まずは教科ごとの傾向を理解していきましょう。
教育クリエイター 秋田洋和
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