トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ ヒンズー教の至高の聖典『ヴェーダ』
外交評論家 加瀬英明 論集
人が自然界のなかで、もっとも高い地位を占めて創造されたと説いたのは、『旧約聖書』が最初ではない。
『ヴェーダ』は、インドの紀元前1500年ごろまで溯るヴェーダ時代の古代文学であり、神々に捧げる賛歌を集録した経典である。『ヴェーダ』に、プラジャーパティ(生類の主)、あるいはヴィシュヴァカルマン(すべてを造る者)と呼ばれた創造神が、世界を創造した物語がでてくる。
『ヴェーダ』は、インドのカースト(今日でも、インドにおいて社会慣習として存在する身分制度)のなかで、最高の司祭者階級であるバラモンの聖典である。
バラモン教と呼ばれたこの教えは、ヒンズー教の前身となった多神教だった。バラモン教が紀元前六世紀から紀元前二世紀にかけて発展して、ヒンズー教となった。『ヴェーダ』はサンスクリット語で「知識」を意味するが、ヒンズー教にとっても、至高の祭典となっている。サンスクリット語は古代インドの言語である。
『ヴェーダ』によれば、プラジャーパティが、人間を生物のなかの最上位として造った。
また『ヴェーダ』は、神々がプラジャーパティに、人間の起源であった原人(プルシア)を、生け贄として供える祭儀を行なった後に、この宇宙が誕生したと、述べている。
プラジャーパティは、人間の原人の手足から造った。他のすべての生物は、「牛乳とギー(牛、水牛の乳からつくったバター)のような混沌」を材料として、造られた。そして、人は自然には存在しない永遠の魂(アトマン)を与えられ、他のすべての生命体と区別された。
ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたのか 二章 鯨を供養する日本人の心性
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