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描きまくる情熱から目がそらせない「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」展
2017年05月20日
「高価買耳」とはいかに?
ある店の看板の「買耳」の文字に反応し、耳が店頭に並ぶ様子が浮かんだ。買取の「取」の右側が剥がれていたせいだ。お陰で恐ろしい光景を想像してしまった。
先日、東京ステーションギャラリーにてアドルフ・ヴェルフリの展覧会を鑑賞した。その時にもこれと同様の普通ではないものを見たという感情が湧きおこった。アドルフ・ヴェルフリは、わたしはそれまで知らなかったが、アウトサイダー・アートまたはアール・ブリュットの芸術家として世界的に評価される芸術家だ。スイスで生まれ、31歳で精神科病院に収容され、亡くなるまでの35年間を病院で過ごした。膨大な作品群を残している。アウトサイダー・アートまたはアール・ブリュットとは、正統な美術教育を受けていない人が制作した作品であるが、アートとして扱われているものを指す。美術教育を受けていなくとも、才能がある者はその才能を存分に開花させる。日本では貼り絵の山下清の作品などが有名だ。
アドルフ・ヴェルフリの作品は、余白など全くなく、絵と文字と音符で埋め尽くされている。画材は、鉛筆と色鉛筆のみ。それだけで、こんなにも世界を作りこむことが出来るという事実に驚く。筆の運びを見ると、もの凄い勢いで描かれているのがわかる。その描く様子を想像すると、普通ではない恐ろしさを感じる。
精神科病院に収容される以前には、犯罪に手を染めた経歴もあるが、病院でその才能を開花することが出来て、彼は幸せだったのではないだろうか。彼の才能を見出したひとに感謝したい。何と表現したらよいのかことばが見つからないが、とにかく鑑賞しながら「素晴らしい!」「天才だ!」と称賛することばで頭の中が一杯になる。
この世には見出す者と見出される者がいる。あなたは、彼の作品に何を見るのだろうか?
◆「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」展
会期:4月29日(土)―6月18日(日)
場所:東京ステーションギャラリー
ホームページ:http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201704_adolfwolfli.html
檀 ままこ
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