トップページ ≫ 社会 ≫ あの前文科省次官が浦和で語ったこと
社会
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学校法人「加計学園」の獣医学部新設について「行政がゆがめられた」と発言して時の人となった前文部科学省事務次官の前川喜平氏の講演会が、先日、浦和で開かれた。会場の浦和コムナーレのホールには満員の400人の聴衆が集まった。
最初に「政治の話はできるだけしないつもり」と断りを入れ、演題の「教育を語る――子ども・若者の生きづらさによりそって」に沿い、夜間中学、フリースクールの話を中心に、基本的人権の根底にある学習権に言及した。この講演会の主催者の一人は、義務教育を十分に受けられなかった人に学びの場を提供しようと「川口自主夜間中学」を32年前から開設してきた金子和夫代表だ。退職後に厚木市の自主夜間中学でボランティアを始めた前川氏も、その活動を高く評価している。
国会での答弁では厳しい表情を崩さなかった前川氏だったが、この日は本来の教育がテーマのためか、終始なごやかで、冗談も交えていた。夜間中学に関して、文部科学省は「見て見ぬふりをしてきた」と反省しつつ、安部内閣の文科大臣の中にも前向きな人がいたと明かした。川口自主夜間中学の歩みを記録した「月明かりの学舎から」(東京シューレ出版)の中でも、この大臣が浦和に来て「公立夜間中学は全国で31校、東京に8校あるのに埼玉はゼロで、埼玉から東京の夜間中学に通っている人が大勢いる」と訴えたと記されている。学び直しを支援する法律も昨年末に成立し、川口市では2019年4月に県内初の公立夜間中学が開校される運びとなった。
夜間中学の問題以外でも前川氏の意見は型にはまっていない。高校の数学は必修でなくてもよいというのもその一例。2次方程式以上の知識は実生活においては不要で、学習を強要することで制度的に落ちこぼれを作る弊害があるというのだ。また、学校は軍隊の流れを受け継いでいるとも指摘していた。ランドセル、詰め襟、セーラー服、行進など。
講演後の質疑応答では、やはり加計学園の問題が出た。苦笑しながらも「その後、新たな事実が出てきている」と答えていた。
山田 洋
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