文芸広場
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亡くなった友人が映像のなかで、指揮者をまっすぐ見ながら、打楽器を演奏している。数種類の楽器を担当しているので、席を移りながら。移動の際のしぐさが思い出のなかのしぐさと重なり、思わず目がうるむ。
何十年も前の高校時代、わたしはマンドリンギター部に所属していた。マンドリンギター部、略して「マンギタ」。その部で、わたしはマンドリンでもギターでもなくて、特別パート。特別パートにはクラリネット、フルートの管楽器と弦楽器のコントラバス、打楽器があり、わたしはコントラバス担当だった。
目をうるませた映像は、わたしたちが高校2年生、3年生時代の演奏が動画サイトでアップされていたのだ。同級生がたまたま見つけて、教えてくれた。
いまはすっかり楽器に触ることもなくなってしまった。だから、コントラバスを自分が演奏している映像を見て、とても新鮮に感じた。確かにわたしはコントラバスの弦に弓を滑らせて演奏している。指揮者をまっすぐ見て、時に激しいかっこいい曲をみんなで作っている。
頑張っている自分は素敵だった。自分も、亡くなった友人も、メンバー全員がいい顔をしている。事故で亡くなった友人がそうであったように、寿命は自分で決められない。だから、ひたむきに頑張る時間は多い方がいいにちがいない。
様々な頑張った瞬間をつないで人生を紡いでいこう。
檀ままこ
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