文芸広場
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この世でいちばん面白い。それは、ひとだと思う。面白い物語、面白い品物と面白いは世のなかに溢れるが、それを考えたのもひとである。だから、この世でいちばん面白いのはひとではないか。
出会うひとたちそれぞれに、思想、趣味が違う。顔だって違うし声も違う。そのことがとても興味深い。
先日行った時計店の奥さんは、いつも必ず客を褒める。その服が素敵だとか、財布の色がとても綺麗だとか。褒めすぎるところが面白い。その奥さんの旦那様である店主は、やたら声が大きい。面白夫婦である。
かくいうわたしも、自分のことをしみじみ面白いと感じることがある。家の外では言われたことがないが、実は家族には「ジャイアン」と呼ばれることがある。あのドラえもんに出てくるジャイアンだ。自覚はないが、家ではかなり自己中心的な面があるらしい。また、ちょっとテレビを見ようものならいつの間にか涙ぐんでいることが多く、家のなかでは走っていることが多いらしい。家族が語る「わたし」は、かなり面白い。
その反面で、この世でいちばん恐ろしいもの。それもひとだろう。ニュースではひとが犯した恐ろしい罪が報道される。
先日見た朝の情報番組の内容が象徴的だった。仏像マニアの男性が、ある写真の仏像がどこにあるのかをネットで呼び掛け、ネットを見た多くのひとから情報が寄せられて仏像のある場所を特定出来たという。インタビューされていた男性は、たくさんの情報を寄せてもらって有り難かったと語り、感極まって涙を浮かべていた。
その一方で、同じ番組内で、有名な神社を守る家に生まれた者が宮司である姉を殺したとのニュースが。
涙する仏像マニアと殺人事件を起こす者との対比が恐ろしかった。仏像、神様を身近にする生活を送るなかでの、善と悪という対比。
ひとは面白く、恐ろしい。そのことを肝に銘じて生きてゆかねば。
檀ままこ
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