トップページ ≫ コラム ≫ 男の珈琲タイム ≫ 自裁という死を選んだ西部邁氏の生き方
コラム …男の珈琲タイム
保守主義の論客。といってもそれこそ超一流の評論家。西部邁氏が死んでしまった。保守主義の神髄をきわめた人だった。西部氏がはじめから保守主義を唱えた生き方をしてきたのではないところに氏の深さがあった。氏は保守主義とは真逆の共産主義を信奉していた。学生のころだ。しかし氏はここで共産主義や共産主義者たちの欺瞞を見抜いてしまった。同時に人間が本来持っている知的道徳的不完全さを知って学んだ。だから氏は主義の異なる論客を大事にした。そしてよく耳を傾けた。田原総一郎の主宰する24時間テレビにも毎回のように顔をだしては、保守主義の不完全さと良さを説いた。すでに故人となっている著名な社会学者で西部氏と同じように転向して保守の論客だった清水幾太郎氏とは人間の深さが違うように見えた。完全なものを説く者を私は信用しない。不完全さを認めてより完全を目指していく者を愛したい。西部氏は死に方も数年間考えていたという。周りの人達にも「もうその頃は私もこの世にいない」ともらしていたそうだ。しっかりと生きたからしっかりとした死を選んだのだろうか。しっかりとした不完全の生を認めてきた氏はこれまた死というおよそ不条理な生の終りを西部氏らしく他にはおよそ不完全にみえる自裁という自殺を全うしたのだ。
鹿島 修太
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