社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
一昨年2016年がロッキード事件40年だった影響もあるのか書籍でもテレビでも折に触れて取り上げられた田中角栄について、かなり肯定的な評を多く目にした。今時の政治家とは桁違いのスケール、一議員として33本もの議員立法を成立させまたその多くが戦後の国土発展に多大なる貢献をしたといった内容である。その後角栄がもし今ここにいればこの国を云々といった話が続くのが定番だ。またロッキード事件は第一次石油ショックを受けて改めてこの国に資源がない事を痛感した田中が、エネルギー安全保障の観点からアメリカの頭越しに中東やフランスと独自外交を展開したことに対する制裁として行われた暗黒裁判だと断じる有名評論家も存在する程だ。
一寸待ってもらいたい。今太閤と言われ日本列島改造論が大ブームとなり、我が世を謳歌していたその時から支持率が10%を切るまでに急落し、その後も闇将軍とのレッテルを貼がす事無く、表舞台への復帰を現実的に不可能にしたのは誰なのか?その中には今、田中角栄を礼賛しているマスコミ関係者や政治家自身も含まれておりまた往時その政治的評価を受け入れた我々自身でもあるはずだ。そのことを忘れて今更何をという喉骨の引っ掛かりを禁じ得ないのである。
実際に批判の嵐が吹き荒れていたその時に堂々と角栄擁護の論陣を貼った同時代人は小室直樹氏、渡部昇一氏位ではなかったかと記憶している。またそれに対する世間の反応は極めて冷淡だったことも付記しておきたい。
没後20年が過ぎ、また東日本大震災という未曽有の天災を受けて、そのレゾンデートルが揺らいでしまったかのような国民感情から、国民政治家が待望されるのはある意味当然の帰結であり、その時流に沿った評価の変遷ともいえる気がしている。
現時点では功罪の評価が相半ばしているというのが腑に落ちるところではないか。
ただ最後に、今、昔の映像を見てもやはり演説は群を抜いて面白く、また人を引きつけて離さない。古びてもいない。直接に薫陶をうけた人々が時代の変遷を受け、擁護したい想いにかられるのは心情として理解は出来る。ふり幅の大きな、特筆するに足る稀有な政治家であった点は衆目の一致する所であろうと感じている。
小松 隆
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR