社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
かつて新聞が今より影響力を持っていた時代があった。
世論を喚起出来るだけの力を、実際に持ち合わせていた。
源流のひとつをさかのぼれば明治中期、陸羯南主催の日本新聞は国民主義を旗印に論陣を張った。
時の政府に発禁命令を受けること33回、政治は世論に従うべしとしたその内容に、明治藩閥政府はさぞや苦虫をかみつぶしたであろう。
でなければこのような行為に及ぶべくもなくこうした質の世論が勃興されることを心底恐れていたとも考えられる。
実際には最大で発行部数2万部であった日本新聞の言説の影響力はあまねく広範には行き渡らなかった。
しかし明治中期の発展期に国家の礎を根っこで支える国民の知的視野を陰に日向に高めるプラスの影響があった事であろう事は想像に難くない。
ひるがえって今の新聞はそうした世論を励起するだけの影響力を持ち合わせているだろうか。
個人が嗜好に応じた情報を選択して容易に取れる時代、その影響力はずいぶんと痩せ衰えてしまった感もある。
しかし好みの情報のみをインプットし続けた場合、その偏った情報は客観的に物事を判断する為のリソースとして適切でない事は明らかだ。
少しとがっていても良い、世論にさざ波をたててもかまわない。
愚直に事実に依拠する情報を裏付けとし、それをバックボーンに論説を世に発信し続ける事こそが新聞の恒久的使命なのではないか。
また質一辺倒に偏らず、量の確保もまた大切であると思われる。
物事をきちんと判断するためには質量両面を充足した情報群が欠かせない。
我々も一面的でない価値判断を持ち、良質な世論を形作る事に貢献していきたい。
小松 隆
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