トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 中学校に入る前に親がしてはいけない80のこと 第4章 中学校生活のタブー (61)
教育クリエイター 秋田洋和論集
中学校入学のお祝いに電子辞書を買ってやるつもりだ
子どもが中学校に入学するときに欲しがるものといえば、携帯電話、タブレット端末、ゲーム。では逆に、親や祖父母が「買ってあげよう」とするものは何でしょう。
それは、電子辞書です。紙の重い辞書に四苦八苦した経験をもつからこそ、その便利さがわかる親世代のほうが、一度手に取ると惚れ込んでしまうようです。子どもの意志とは関係なく買ってやってしまった、という話をよく耳にします。
面白い話があります。法律を教える大学講師の多くが、最近は六法全書をタブレット端末にインストールしているというのです。「重い六法を持ち歩かなくてすむことは法律を学ぶ者たちの悲願でしたから」と聞いたときにはびっくりしたものでした。さらに驚いたのは、
「でもほとんどの先生が学生たちには紙の六法全書を使わせると思いますよ」
という言葉でした。「紙の場合、自分の調べたい内容だけでなく、その周辺の内容も自然に目に入る。『ついでに』入ってくる情報量を無視してはいけない」からだそうです。
英語の先生のなかには、「紙の辞書で一文字ずつたどって英単語を探すことで、スペルを記憶しやすくなる」と言う人もいれば、「電子辞書のほうが一つの英単語を調べるのに半分以下の時間ですむのだから、わざわざそこで苦労させる必要はない」という意見の人もいます。どちらの意見にもうなずけます。
「電子辞書をいつから持たせるべきなのか」という問いに対して、明確な回答をもっている人はいないでしょう。ただ、言えることはメリット・デメリットを考えずによくわからないまま買い与えてしまうことはよくないということだけです。
電子辞書を中学生から子どもに持たせたいのであれば、小学生のうちに家庭で、法律や英語の先生がたがおっしゃるような、紙の辞書のメリットを体感させておけばいいのです。辞書の引き方・使い方を、まずは紙の辞書できちんと教え、それから電子辞書を持たせるべきか考えましょう。
「中学校に入る前に親がしてはいけない80のこと」(PHP文庫)秋田洋和より
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