トップページ ≫ 社会 ≫ 特別企画 ~水のスペシャリスト下村政裕からのメッセージ~⑤
社会
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序章、水の話(Talk about Water)
~あらためて水を見つめる~
いうまでもなく水は、地球上で動植物が生き抜いていくために不可欠なものであり、空気と同様、地球(自然環境)からの恵みであり代替物はありません。そんな水と人の生活について、ここからは議論をさせていただきたいと思います。
さて、21世紀は水の世紀と言われたことを思い出してみましょう。
水の惑星ともいわれ、宇宙から見ると青々と瑞々しい、大変に美しい地球ですが、約14億km3の水があると推計されています。ところが、言わずもがな、そのほとんどは海水です。我々人類や陸上で生活する動植物が生きていくために必要な直接の水としては使えない、あるいは非常に使いづらい水です。そして、地球上の全水量の2.5%が淡水ですが、その7割、全水量の1.75%は北極や南極で凍っています。残りの0.76%の淡水は、そのほとんどが地下水ですが、そのうちの半分は地中深くにあって、やはり利用することができません。最終的に人が使える淡水は、比較的浅い層にある地下水と湖や川の水で、地球全体の0.3%ほど。しかし、現在では、これらの多くもかなり汚染されているといわれており、実際に使える水の量は地球全体の0.01%ともいわれています。これは、もし地球のすべての水の量がふろおけ1杯分(200リットル)だとすると、20ml、大さじ1杯とちょっとということになります。
一方で、ブラジルのアマゾン川。流域面積は世界最大で、その流域が抱える水の量は世界の全河川の 三分の二にも当たると推計される膨大な量です。また、ブラジルの南部にある世界3大瀑布の一つ、イグアスの滝。ブラジル赴任中に訪れる機会がありましたが、その壮大な水風景には、科学技術がどんなに進歩しても絶対に制御できない自然の力を、恐怖を伴ってまともに感じ、大きく人生観が変わりました。しかし、その同じ国のサンパウロ。200年以上に渡って命の水の確保に向けた真剣な、壮絶な戦いが今もなお続いています。
つまり、水の惑星ともいわれ、水が豊富に存在するかに見える地球ですが、陸上に生活する生物が使える水はほんのわずか。そしてブラジルの上記事例が示すように、その偏在性と、更には世界の人口爆発そのものと、そのことによる環境汚染の進行により、我々人類が使える水は、ますます少なくなり、貴重となり、使える水の争奪戦に拍車がかかる世紀になる。だから、21世紀は水の世紀といわれたのですね。
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