トップページ ≫ コラム ≫ 埼玉の余話 ≫ 地方の帝王 ④ ゲシュタポをまねた市長
コラム …埼玉の余話
この市長は人を信じないことで有名になった。必ず部下が寝首を掻きにやってくると思っていた。その証拠に有名大学卒の部下は絶対に側近にしなかった。市長にただ揉み手ですり寄ってくる者だけを側近において、他の部下たちを監視させていた。ナチスのゲシュタポのようだと役所内では囁かれていた。役所以外ではニヤニヤ人の良さそうな素振りをして、騙されやすい市民からはそれなりの人気を得ていた。4期目も楽勝と誰もが思っていいたが、とんでもない新人に大差で負けた。新人はさして優れた者ではなかったが、とにかく市を思う気持ち、人を信じる力、そして自分の大学がさして有名でもなかったから、学歴があってもなくても、良き者を受け入れる姿勢で戦いに挑んだ。帝王はかなりのショックを受けて、以来、政治の場には一度も顔をみせていない。
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