トップページ ≫ 社会 ≫ 特別企画 水のスペシャリスト下村政裕からのメッセージ~⑦
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
水は非常に限られた資源(Water is Very Limited Resource)
~水は地球からの恵みであり非常に限られている~
これまでに、地球上に暮らす生き物にとって生きていくために欠かすことができないものの一つが水。その水のうち、我々人類が陸上に暮らす他の動植物なども含めて必要とする「命の水」である淡水は、非常に限られたものでありかつ偏在していること。更にその貴重な水源は人の営みによって汚染され、あるいは水源池そのものとその水源がその量や清浄さを保っていくために必要な、森林、原野、湿原などいわゆる緑のダムや地下水の涵養地が激減していることをお話ししてきました。ご承知の通りこれは日本だけの問題ではありません。世界的な傾向です。そして特に、日本も含め、大国と呼ばれる国でのこの問題は、その国固有の問題に留まりません。
言われて久しい地球温暖化や気候変動。上流での水資源の大量取水。そのことにより都市部には水がなくなる。都市で使用された後の排水は下流に返す。大国の大都市でのこうした営みも一因となって地球規模の水循環系に狂いが生じ、地球の温暖化や気候変動をもたらしているといえ、その結果として、ゲリラ豪雨や干ばつ、あるいは海水面の上昇による地下水の塩水化といった問題にも繋がっているともいえます。我々の生活そのものに直接の影響を与えるとともに、水道事業にとっても安全な水を安定的に将来に渡って持続して皆様方に供給し続ける観点から、由々しき事態となっているのです。
かつて私が赴任したブラジル。その大西洋側の海岸に沿って約5,000㎞に渡る海岸山脈(ブラジル大西洋岸森林、マタアトランティカ)があります。1500年のブラジル発見当時、この森林の面積は130万km2。熱帯雨林であるこの大森林は、地球規模の水循環系の大きな源の一つだったはずです。ところが、18世紀のゴールドラッシュ、それらに伴う、農場や牧場の開拓、19世紀に入ってのコーヒー栽培等々を通して、その大半は失われ、現在は僅か当初の約8%、10万km2しか残っていないと推定されています。
さらに海岸山脈の上、標高800mに位置するサンパウロ都市圏は世界都市圏人口の第10位、2千百万人を抱える大都市圏です。ここから出る大量の都市排水は、ブラジルの内陸に向けて流れる川に流れ出しています。都市部を外れた大森林の中を流れるその河川を、飛行機の窓から見おろす機会を得ました。真っ黒な川が、時に白く洗剤により泡立ちながら、人気のない大森林の中を流れる光景!背筋が凍りつくような感覚に襲われ、水道が関わる水資源の汚染現状の本質のようなものを感じ、最適な水循環の再生は、国際的な観点で立ち向かわなければならないと感じた瞬間でもありました。
ちなみに、埼玉県も位置する東京都市圏の人口は、4千万人弱。世界都市圏人口第1位です。ここでの我々の水と生活による諸問題が、地球規模で悪い影響を与えていないのか、といった観点も、他国から様々な影響を受けやすい島国においてもなお、大変重要なことであると思っています。
添付写真2枚のキャプション:
「サンパウロ州の森林の中を、どす黒く汚染され、流れによっては洗剤の泡で覆われながら横たわるチエテ川」
最新の情報は、「サンパウロ チエテ川 河川の泡」でネット検索してみてください。
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR