トップページ ≫ 社会 ≫ 特別企画 ~水のスペシャリスト下村政裕からのメッセージ~⑨
社会
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ラオスでの水供給の現状(Existing Condition of Water Supply in Laos)
~国連の開発目標は達成したのに~
さて、日本で生活していては、飲む、飲まないは別にして、蛇口からいつでも飲める水が出ることが当たり前過ぎて、なかなか振り返ることができない水道の原点。私が1992年に出会ったラオスでは、まさにその原点が、未だに、そこ、ここに現存しています。そんなラオスの人たちの水と生活の話をしながら、水道の原点を見つめていきます。
先日(4月29日放送)、NHKスペシャルの、 “大江戸”でござる!「第1集 世界最大!!サムライが築いた“水の都”」を見ましたが、さいたまの水道に関わって40年、江戸時代の水道のことはある程度は知識としてありましたが、ここまで、張り巡らされた現代に近い形での水道網が江戸の地下にあったということに、大きな衝撃を受けました。そして、今のラオスの地方の庶民の水と生活は、江戸時代の人たちより劣っているなと思ってしまった次第です。
ラオスでは、2020年までに、国連で定められた後発開発途上国 (LDC)からの卒業を目指しています。そのために、国連の国際社会共通の開発目標であるミレニアムゴール(MDGs)の達成に向けて、各国、様々な国際機関の支援を受けながら努力を重ねてきました。その結果、水の分野における「2015年までに安全な飲料水を継続的に利用できない人々の割合を半減する」という目標を達成させることができました。現在は、国連の新たな2030年の目標、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて、水分野においては全ての人に持続可能な水の使用を保障する取り組みのスタートを切ったところです。
そうした現状なのに、ラオスの人たちの水と生活が、「なぜ、未だに日本の江戸時代より劣るのか?」。それは、ラオスが水分野のMDGsを達成できたのは、公共水栓方式という一つの水供給ツールを使ったからです。ちなみに、このツールはラオスだけでなく、多くの途上国やかなり開発の進んだ国でも、その地方部においては、未だに使われている方式です。この方式は、村の中心部等に、井戸や、近くの川の水、山中の湧水を引き込んで公共の蛇口を設置し洗い場スペースを設けて村人たちに水を供給する、すなわち、水をそこで使ってもらう、あるいは、家で使う水を取りに行ってもらう方法です。
江戸の水道は、各武家屋敷の庭や長屋の広場に木桶の井戸を設置しそこまで水を供給していたという点で進んでいるなと思った次第です。
江戸時代の水道事情については、さいたま市水道局の広報紙、「水と生活」のNo.163(2017.12)とNo.164(2018.04)でも紹介しています。
[1] 後発開発途上国(こうはつかいはつとじょうこく、英: Least developed country、略語:LDC)とは、国際連合(国連)が定める世界の国の社会的・経済的な分類の一つで、開発途上国の中でも特に開発が遅れている国々のことです。
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