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日本大学アメフト部の悪質タックル、女子レスリング選手へのパワハラと続いたアマチュアスポーツ界の不祥事に、今度はボクシング選手への助成金の不正流用疑惑が加わった。2年前のリオデジャネイロ五輪に出場したライト級の成松大輔選手に対して、文部科学省傘下の日本スポーツ振興センターから240万円の助成金が支払われたが、日本ボクシング連盟の山根明会長(78歳)の指示により他の2選手と80万円ずつ分け合ったというのだ。この2選手は助成対象外なので、明らかに違反行為だ。
それだけではない。会長と縁が深い奈良県の選手には試合で有利な判定をするように審判員に圧力をかけたり、検定合格した公式戦用グローブは彼の身内が営む店以外からは買わせなかった等々。とてもアマチュアスポーツ団体のトップとは思えない公私混同のオンパレードだ。
1970年代の一時期、私は日本連盟の下部組織である東京都アマチュアボクシング連盟の役員だった。所属していたYMCAボクシング部の監督が連盟の理事で、彼の推薦によるものだ。東京都の役員が日本連盟の役員を兼ねることが多く、当時の連盟幹部の人たちの話を聞く機会もたびたびあった。
原宿の岸記念体育館の中に連盟事務局はあったが、日本体育協会(現・日本スポーツ協会)の中でも有数の弱小団体で、役員たちはボランティアだった。有名企業の経営者が会長に就任することもあったが、これも企業からの寄付金を当てにしていたからだろう。
実質的な運営を引き受けていたのは事務局長で、マメに試合会場に足を運んでは選手たちに声をかけていた。専任なので報酬はもらっていたのだろうが、それもわずかなはずで、「好きなボクシングに身を捧げた」と言われていた。アマチュアボクシングは試合での観客も少なく、およそ金とは無縁の世界だった。
ボクシング連盟にはそんな印象しかなかったので、山根会長の行状を知るにつれ驚きは増す。6年前のロンドン五輪で、ミドル級で村田諒太選手が金メダル、フェザー級で清水聡選手が銅メダルを獲得して、連盟にも日が当たるようになった。そして2年後の東京五輪がある。助成金が増大し、かつての貧乏団体にも利権が発生したようだ。
プロボクシング興行については昔から闇の部分を指摘されてきたが、山根会長にはプロも顔負けだ。所属団体の多数から、不正を告発する動きが出てきたのが唯一の救いか。
山田洋
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