トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 中学校に入る前に親がしてはいけない80のこと 第5章 将来のタブー(72)
教育クリエイター 秋田洋和論集
子どもの夢に「もっと現実を見なさい」と言っている
今でも後悔していることがあります。
ある生徒に、不用意な発言をしてしまったことがありました。本人は覚えていないかもしれませんが、もしも会うことがあったら必ず謝ろうと思っています。
塾講師になり立ての頃、生徒に志望校調査アンケートをとる機会がありました。ただ学校名を聞いても面白くないので、「将来なりたい職業」についても質問したのです。その生徒が書いた回答は、
「宇宙飛行士になりたい」
でした。私がそれを、笑いながらではありますが「真面目に書けよ」と注意しました。すると、普段はふざけてばかりの彼が、このときだけは「真剣です!」と答えたのです。
その後このアンケートは保護者面談でも使用し、それを見た母親も「この歳になって・・・」と呆れながら笑っていました。
「中学生なんだから、もっと現実をみろよ!」
と、私も一緒に笑いながら思ったものです。
ところがその数年後、彼が大学生になった頃でしょうか。一人の日本人宇宙飛行士が誕生しました。驚いたことに、私たちが住む街から。しかもその方は、同じ学区の小・中学校を卒業した“先輩”だったのです。
それほど近いところから登場した宇宙飛行士。雲の上のような存在だった職業が急に身近に感じられ、そしてこの生徒のことを思い出し、私は後悔の念に駆られました。
「無意識のうちに、彼の可能性を自分がつぶしてしまったのではないか」
だから、今はこう考えます。
夢を追い続けるのも諦めるのも本人が決めればいい。大人はフォロー役でいい。
夢の現実味には「見て見ぬふり」をし、彼らが迷ったときだけ相談相手になればいい、と。
宇宙飛行士になる可能性だって、ゼロではない時代なのですから。
「中学校に入る前に親がしてはいけない80のこと」(PHP文庫)秋田洋和より
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