トップページ ≫ 社会 ≫ 特別企画 ~水のスペシャリスト下村政裕からのメッセージ~⑬
社会
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もう一つのラオス(Another Laos)
~変わりつつあるラオス~
何度もご紹介している通り、ラオスは現在も、国連により後発開発途上国(LDC)と位置づけられています。最初に私が訪れた1990年代当初のころは、最貧国の一つという言い方もされていました。ところが訪れてみると、どんな地方でも毎日、朝市、夕市が立ち、それらの市場は、新鮮な野菜、果物、肉や魚などがあふれ、たくさんの村人で賑わっていました。人々の生活も笑顔にあふれ、大家族の中でお互いを大切にし、幸せで健康的な暮らしをしているように見えたことがすごく印象的でした。そのことは、今でも、変わりません。当時も今もなお、そこに住む人々は、我々から見て、文化的でなくても、便利でなくても、お金がなくても、生き生きとした人間的で幸せな生活をしている、そんなオーラが人々からいつも発せられています。そして、どんなに、地方の田舎に行っても、子供たちがたくさんいることにも驚かされます。
そんな陽気や活気に満ち溢れた、まさにスローライフ、シンプルライフの国ラオスですが、市場経済の導入(1986年~)、ASEANに加入(1997年)と徐々に対外政策の推進にシフトし、それまでのとてもゆったりとした時間の流れが、ASEANの議長国を務めた2004年ごろから、都市部において、急速な経済発展へとシフトしました。近年の国際ドナーや政府による道路網などのインフラ整備、そして経済特別区設置などにより海外からの投資も盛んに行われるようになってきており、90年代以降、毎年5%前後の高い経済成長も実現しています。
しかしながら、大多数の国民の生活に目を転じれば、社会インフラの整備が全く追いつかず、交通事故などは、今の日本では想像すらできない頻度でかつ重大事故も頻繁に発生しています。更に旧市街地において木造家屋が密集しかつ電力システムの質も悪いことから発生する火事も、大きな社会問題となっています。加えて、今までになかったレベルでの貧富の格差も引き起こし、ビエンチャンの市内では、日本でも見られないような高額なスーパーカーが走り、新車もあふれていますが、一方で、20年前には全く見られなかった物乞いをする人の姿も見かけるようになりました。そして30分も車で走って市外に出れば、そこは、数十年前となんら変わらぬスローライフの村人たちの世界が広がります。
また、都会を中心に、食生活も大きく変化しました。私が最初に訪れた90年代は、小柄で健康的に痩せている人がほとんどでした。もともと、極端に少ないおかずに、もち米で腹を満たす文化だったところに、中国、ベトナム、韓国そしてタイから、かなり高いカロリーのおかずをたくさん食す文化が入ってきて、現在は、若者から中高年層まで、多くの男女が肥満体質となり、生活習慣病を患うような現状となりました。このため、ドクターストップなどにより、もち米を食す習慣は、ここ10年ほどで、特にビエンチャン市内中心部からは、完全に消えてしまっています。
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