トップページ ≫ 社会 ≫ 水道法の改正と水道事業の民営化の問題点④ ~水上清悟~
社会
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次に、改正水道法の目論むところの水道事業の推進基盤の強化について、具体的なアプローチはどうあるべきかを適正に理解していくために、先ずは水道事業の経営上の特徴について掘り下げてみる。
水道事業経営の基本原則は、経済性の発揮と公共性の追及の調和(バランス)を取ることである。すなわち、水道事業は、常に企業の経済性を発揮すると共に、その本来の目的である事業エリア内の住民の公衆衛生が確保されるように運営されなければならない。したがって、公共性の追求の観点からは、原則不採算でもやらねばならないという側面を持っている。言わずもがな、公共性とは、住民の日常生活に密着した最良のサービスを提供し続けることであり、一方で経済性とは、能率的、合理的な事業運営を図り、最小の経費で最大の効果をあげることである。この相反する原則の調和を取っていくためには、当然お客様のこのことに対する深い理解が必要であり、理解を得るためには事業者の公正性や透明性が大変に重要になる。
特徴の二つ目は、独立採算制の適用ということである。水道サービスの提供は、水道料金等による受益者負担が原則であり、使用者が満足する水供給サービスの提供と水道料金のあり方が経営の成否を握っている。すなわち、適正な水供給サービスにかかる給水原価(コスト)の適正化とそのコストをリカバリーできる料金設定ということである。このことのためには、自主的な経営責任体制の確立が必須であり、多角経営などによる水道事業経営上のリスクをすべて取り除き、倒産や破産は絶対に避けなければならない。また、コスト回収にあたっては、原価償却期間、すなわち、投資した施設の法律で定められた耐用年数をかけて回収することが重要であり、このことにより、水使用者の使用期間における水道料金額の公平が保たれる。また、水道サービスの水準は需要者が決めるものであり、したがってその水準を確保するための当該地域における水道サービスの内容やコスト、そして水道料金を、需要者に明らかにして事業経営を行う必要がある。
水道事業経営上の特徴の3つ目は、独占的経営の容認ということである。自然(地理)的、技術的な独占が認められている。このことは、浄水場や公共道路等に埋設された水道管網ネットワークという施設を経営する水道は、多額の資本投資が必要であり、同一地域で複数の企業の競争を認めると、非効率・不経済な施設建設投資をすることとなり、かつその運営も非効率・不経済なものになることは想像するに容易い。地域独占的経営におごることなく、需要者が満足する水道サービスを、需要者が納得する料金で、安定的にかつ将来に渡って持続して提供し続けなければならないのが水道事業である。 続く
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