トップページ ≫ 社会 ≫ 水道法の改正と水道事業の民営化の問題点⑥ ~水上清悟~
社会
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民間活用形態の二つ目、PFI(コンセッション)方式。市町村が水道施設の所有権を持ったまま、20年から30年の長きにわたって事業運営権を民間に与える方式であるが、水道事業の特質の観点から言えば、水道事業を運営していくためには、完全民営化と同様の問題が発生し、水道サービスの質の確保という観点でも、水道料金設定の観点でも市町村が経営を継続するより優位であるとは考えられない。ただし、コンセッション方式には、既存の浄水場の更新工事と完成後のその浄水場の運営権のみを与えるなど、一部の施設やサービスに限る契約形態もあるが、この場合は、水道事業者の管理監督下の元で、適切な施設建設や適正な施設の運用、維持、管理を確保することができると推察できる。しかし、水道事業の運営権を全面的に民間企業に渡した場合、水道事業体はその市町村からなくなるわけで、市町村のどの部署が、お客様のベーシックヒューマンニーズを確保するための適正かつ妥当な管理監督を、数十年の長きにわたって主体的に責任をもって行うのか、否、行えるのか?これも、大きな疑問である。
民間活用の形態の最後、第三は、今までも水道事業が取ってきた一部事務事業の請負や委託ということである。これは、設計や施設工事などの請負や検針業務に代表される定型的な業務を始め民間委託等が可能なものは、水道事業者の的確な発注・管理・監督の下、優良な民間事業者への委託等を積極的に拡大していくことにより、水道事業体は経営の一層の効率化を図ることが可能となる。そして、優良な民間企業にとっても、適正に利潤を追求しながら、社会に貢献する企業活動ができるわけで、双方にとってWin-Winの関係を持続させる方策だといえる。
続いて、事業基盤強化アプローチの二つ目、「広域連携の促進」に話を移す。大都市の水道事業の事業運営は地方都市のそれと比較すればかなり効率よく運営されている。これはスケールメリット、規模の論理が働くからである。したがって、スケールメリットが発生する規模に地方の水道を再編成することができれば有効な方策であるといえる。しかしながら、市町村枠を超えた同一サービス、同一料金をどのように説明し拡大地域住民等の同意を得ていくかが大きなポイントである。それでもなお、水道のみならず、ある意味での格差を是正していくためには、県民あるいは日本国民といった視点でベーシックヒューマンニーズを再確認し、地方があって都市が成り立ち、都市があって地方も成り立つといった考え方、例えば、河川流域の上下流を考えれば、上流地方の努力により水環境が保たれ、清澄な水を下流域の都市部でも使えるわけであり、水道システムは、給水区域(市町村)内という閉鎖空間だけで成り立っているわけではないという視点が重要である。 続く
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