コラム …男の珈琲タイム
天候が定まらない日々が続いている。春であって春でないこの季節。明るく温かい春という言葉とは程遠い。「3月の雨と4月の風が美しい5月を創る」という言葉をいつも思い浮かべているのがこの季節だ。だからこそ希望の春だ。一方「春は猛獣の如くやってきて羊の如く去っていく」という言葉もいい。やはりここにも春を待ち美しい晩秋から初夏の空気と光景を待ちわびるせつない希望がある。それにつけても去っていくのは季節ばかりではない。何んと多くの人々がこの世を去っていったことか。希望と失意は裏腹なのだ。世は流転だ。18世紀の詩人ヴェルレーヌは「巷に雨のふるごとくわが心にも涙ふる」とうたったが、人の心にも氷雨が降りそしてまた春の風も吹きぬけていく光景が浮かんでは消え、消えては浮かんでくる。全てはうたかたなのだ。だからこの刹那に生命を賭けていくところに意味がある。曹洞宗の道元は悟りを求める意志も世の無常性を前提にしていた。希望も失意も常に変化していくからこそ愉快ではないか。
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