トップページ ≫ 社会 ≫ 特別企画 ~水のスペシャリスト下村政裕からのメッセージ~⑱
社会
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日本の水道の現状(Existing Condition of Water Supply in Japan)
~水道の現状や課題の概観~
近代水道の創設から約90年弱、私が水道界に入った1970年代の日本の水道は、地方を除けば、新設拡張期はほぼピークを迎え、量の確保から質が問われる時代へと変わっていった年代でした。当時の浦和、大宮、与野の三市を給水区域に持つ埼玉県南水道企業団もそうでしたが、戦前に創設された都市部の水道では、普及率は90%を超えたものの、高度経済成長時代の急激な人口増に戦前の施設が対応できず、出水不良や水道管内のさびによる赤水といったサービスの劣化が顕在化していました。施設の新設・拡張を行い水道水の供給量を増量し、水道の普及を強力に押し進めていた時代から、水道水質を中心とした水道サービスの改善に向けた維持管理の時代へとまさに移り変わった時代でした。そして80年代は、第2世代維持管理といわれる時代に。維持管理の内容が、70年代の漏水修繕や赤水による水道管内洗浄作業などのお客様個々からのクレームの対応から、経年施設の大規模修繕や更生、更新事業へとシフトした年代です。そして、90年代には、これらの事業が維持管理の概念から外れて施設整備の主流へと変わった新たな施設整備事業の船出を迎えます。施設整備事業は施設の新設及び拡張事業が終焉を迎え、施設の更新・再編あるいは再構築が主流にと大きく変わりました。これらの施設整備管理を効率的に進めるために、マッピングなどいわゆるIT化に舵を切ったのもこのころのことです。さらに2000年代に入って、失った信頼の回復を合言葉に、水道事業経営の主流は施設整備から水道事業そのものの再構築の時代へ。あらゆる資産の適正な管理、いわゆるアセットマネジメントを行い、予防保全の概念で事業を進めること。施設整備も、対症療法的対策、後追い的対策は完全に終止符を打たせ、施設上の問題が発生してお客様に迷惑をかけてから対処するのではなく、発生する前に手を打つ。そんな考え方に基づいて、水道施設の運転管理及び施設整備事業を模索していく水道事業の新たなミレニアムの幕開けでした。お客様の財産である給水管を、水道局予算で配水本管に入れ替え、漏水に備えた予防保全を行うこととし、結果として漏水等の無駄の削減に対しそれまで以上の高次元の成果をもたらし始めたのもこのころからのことです。そして現代、2010年代。本格的な人口減少時代を迎えることになります。施設のダウンサイジングを視野に入れた水道事業の健全化が大きな課題となり、加えて地震に代表される災害時、非常時に向けた危機管理課題が大きくクローズアップされてきました。そうした課題に対処するために、広域化やより積極的な民間活用が叫ばれ、各水道事業は、長期ビジョンの見直しとその具体化としての長中期計画の明確化に四苦八苦をしているのが現状です。
そのような時代背景を受けて、昨年、2018年末、平成最後、令和への期待を形にするための水道法の改正がなされました。
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