トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 高校に入る前に親がしてはいけない82のこと 第1章 子育て方針のタブー(11)
教育クリエイター 秋田洋和論集
子どもに将来一人暮らしをさせる気がまったくない
手塩にかけて育ててきたわが子。今はまだ暮らしの拠点は家庭であり、親の手元にいつも帰ってきます。しかしいつの日か、親の手を離れて巣立つときを迎えます。
中学時代は、社会へ出るための準備期間、大人になるための第一ステップです。ですから親のほうも、そろそろ子どもの自立について意識し、環境を整える準備をしていく必要があります。
その一つが、子どもにいつから「一人暮らし」をさせるのか、考えることです。
家にいれば、毎日の食事はもちろん、掃除や洗濯、ゴミ出しなど、手間のかかる家事はいっさい親におまかせでも生きていけます。これが自宅を離れて一人暮らしをすれば、そうはいきません。家事はもちろんのこと、一日の生活リズムも自分で管理しなければなりませんし、ご近所さんとの付き合いや距離感も自分で測って対応しなければなりません。一人暮らしをすることで初めて経験する苦労も多いのですが、それだけに自立の精神はよく育ちます。
最近は家庭の経済事情が影響してか、大学受験の際に「自宅から通えるところ」を条件にあげる生徒が増えています。それはそれでやむを得ない面があることはわかりますが、「子どもはいつまでも自宅で暮らして、身の回りの面倒は親が見てやればよい」という雰囲気が、中学生のうちから親子の間で当たり前のようにあると問題です。
子どもが「自宅はイやなことをやらなくてすむから楽」と思っているとしたら、「自立」という観点では、その子育ては不合格!と言わざるをえません。
いつかはこの家を出て、自分の力で暮らしていかなければならない。
このことを、親はわが子に伝える必要があります。
それを伝えるのは、子どもが中高生のときからだと私は思います。大学で一人暮らしをするかどうかは家庭の経済事情があるとしても、せめて「社会人になったら自宅を離れる」ことを、子どもには意識させたいものです。
いつまでも親に頼ってないで、いつか自立して出ていきなさいという雰囲気を、親の側からつくり出しましょう。
「高校に入る前に親がしてはいけない82のこと」(PHP文庫)秋田洋和より
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