トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ トルコ帽には、なぜヒサシがついていないのか
外交評論家 加瀬英明 論集
旧約聖書の「ゼファニヤ書」に、神の言葉として、 「わたしは、(略)異邦人の服を着たすべての者を罰する」 (同1ー8)という言葉が、 のっている。
モハメッドも、イスラムの民が異教徒 ー 背教者の衣服を着ることを、固く禁じた。
髪型や、服装は、それぞれの人々の文化を、もっともよく表わすもであってきた。
私は仕事で、中東をたびたび訪れた。
市場(スーク)の道に面したコーヒーハウスに、昼間から男たちが座って、濃いコーヒを啜(すす)りながら 、バックギャモン (西洋すごろく)や、チェスに興じている。中東のイスラム教徒のあいだで、アメリカはあまり人気がないはずなのに、 アメリカ製のタバコをふかしている男が多い。
ほとんどの男たちが、Tシャツを着て、ジーンズを穿いている。近代化 ―― 西洋化の高波によって、洗われている。
それでも、頭はケフィイェと呼ばれる、伝統的なヘッドスカーフをかぶって、丸い輪を載せてとめている 。ケフィイェの色とデザインが、それぞれ男の属している部族を表わしている。
帽(かぶ)り物だけは昔から変わらない。 陽光が強いのにもかかわらず、野球帽や、 ヒサシや、つばがついた帽子をかぶることがない
ユダヤ教徒と、 イスラム教徒は、神を拝む時には、それぞれ帽り物をするか、 ヘッドスカーフで頭を覆(おお)わねばならない。 ユダヤ教徒はキパと呼ばれる、小さな丸い帽子をかぶる。
イスラム教徒は一日に五回、メッカの方角を向いて平伏して、額(ひたい)を絨毯(じゅうたん)にこすりつけて、拝礼する。 帽子にヒサシがあったら、拝礼する時に邪魔になる 。だから、トルコ帽は円筒形であって、 ヒサシがついていない。
コーヒーハウスで、女性客の姿を見ることは、 めったにない。女性は国によって違うが、頭からすっぽりと全身をプルカで覆って、眼だけをだしているか、髪をスカーフで包んでいる。女性は、夫や家族以外の者に髪を見せてはならないのだ。
椅子も、テープルも、砂漠の民にとっては、かなり新しいものある。砂漠では、木材が容易に手に入らなかったために、絨毯や、クッションのうえに座って、金属を打ちだした工芸品の盆を床に置いて、食物や、飲み物を載せたものだった。
衣服も、人をつくる鋳型でもある グローバリゼーションとともに、 アラブの男たちの服装だけではなく、意識も変わりつつあるのだろうか。
ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたか 9章 失われた日本人の面影
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