トップページ ≫ 社会 ≫ 特別企画 ~水のスペシャリスト下村政裕からのメッセージ~⑳
社会
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水道事業を考える(Think of Water Supply Management)
~水道事業を掘り下げる~
さて、前2回にわたって、水道の現状や問題を概観し、厚生労働省がまとめた新水道ビジョンをみることにより、どのように国が現状の水道を評価しいるのかをご紹介させていただきました。前々回からの私的な現状分析も合わせ、今の日本の水道界が抱えている課題の発生要因を大胆にまとめていえば、日本の水道事業体の経営基盤が揺らいでいるということであり、その揺らいでいる経営基盤の構成要素は、技術基盤と財政基盤そしてこれらを支える人材基盤の3つにブレークダウンでき、そのいずれもが、特に、2000年代に入って崩れてきた、あるいは崩れつつあるといえます。そして新水道ビジョンでは、現在の日本の水道が抱えている課題を解決するためには、これらの水道事業経営基盤を再び強化させる必要があり、そのための方策の要素として、水道事業の広域化や官民連携を積極的に推進すべきとし、昨年、2018年末には、それらを目的に、水道法の改正もなされました。なぜなのか、ほんとうにそういった施策により、水道事業の経営基盤は強化され、現在抱えている課題群の解決を図ることができるのだろうか?それらを明らかにしていかなければなりません。しかしながら、蛇口から水が出ることが当たり前で、根底の問題認識があまりない中で水道の課題の解決を図ろうとすれば、間違った方向へとその議論が進む可能性が大です。水道事業とはどのようのものなのかを掘り下げ水道の本質を明らかにする必要があり、そういった意味で、水道の原点や役割を、時間をかけて明確にしてきましたが、ここで今一度、水道事業とは何か?令和を迎えた新たな目線で簡単におさらいをします。
水道を今風に定義すれば、水道による衛生かつ快適な水使用環境の維持が水道の目的であり、そのためには、安心して飲める、使える安全な水を、24時間365日安定的に、人が生活している限り、将来にわたって持続して提供していくことが水道サービスの目指すものです。その目的を達成させるために水道施設を建設し、運転・運用・維持管理・施設更新をしながら、お客様の望む水道サービスを提供し、代価として水道料金をお支払いいただき、水道事業経費を回収しながら経営をしているのが水道事業だということです。
ここで、言わずもがなですが、水道は水を作りお客様のところまで届ける施設がないと事業が成り立ちません。かつ、この施設には、莫大な投資が必要であり、その投資資金の確保と整備には超長期の期間が必要であり、日々の運転管理には、かなり専門性の高い技術も必要であり、合わせて適切な施設のメインテナンスと定期的な更新が必要となります。そのようなことから専門的には、水道は「施設経営」あるいは「装置産業」であるといわれています。莫大な資金や技術を必要とすること、施設更新等の適正な施設整備にあたっても、また施設を運転管理する人材の確保の観点からいっても、超長期的な視点が必要不可欠な公共サービス事業といえます。
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