社会
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犬は体温調整が大変で、暑さに弱い動物だ。
夏場は特に、散歩の時間帯やコースなど、様々な点において慎重を要する。最近の犬たちがファッショナブルになったのは、必ずしもおしゃれのためだけではないようだ。熱中症対策として考案されるグッズも多種多様になってきている。ユニークな例では、手拭いで涼やかに頬を覆った「ほっかむり犬」なる犬の存在がある。近年は「ほっかむり犬」と化した犬の散歩に出くわす機会も増えた。かつては冬の防寒用であった頬かむり、すなわち「ほっかむり」が、夏にも涼しく使えるなら良いアイデアだし「ほっかむり犬」を見かければ、その愛らしさに自然とこちらの頬もゆるむ。
今年の関東地方は肌寒い梅雨が長引き、例年よりも遅い梅雨明けだった。梅雨明けのギリギリまで、梅雨寒の対策を優先するような日々。当然、夏仕立てのユニークな「ほっかむり犬」に遭遇するのも難しかった。
夏本番を間近に控えた日曜の午後のこと。私は横断歩道を渡る柴犬にすっかり釘付けになってしまった。
まずは柴犬の純真無垢としか言い様のない、生命力に満ちあふれた輝きにひきつけられた。柴犬は、アスファルトに出来ていた小さな水溜まりを避けることはしなかった。前足と後足とを巧みに使い、可憐に水を跳ね上げつつ小走りに横断歩道を渡ってゆく。その様子のまぶしさに、ますますこの犬から目が離せなくなった。ちょうど雨が上がったばかりだったので、柴犬の両足によって跳ね上げられた細かな水しぶきたちから、小さな虹が幾つも出来そうな光景だった。その後梅雨も明け、夏の暑さも本番どころではないものになっていった。
昔から日本には、炎暑をしのぐ風習の一つに、通行人に向けて差しのべられる「振る舞い水」という心遣いがある。
まだ炎暑前ではあったが、雨上がりに、アスファルトにできていた小さな水溜まりが、通行人ならぬ通行犬の柴犬にとって、足から伝わる振る舞い水になっていたのなら嬉しい。
夏も既に後半だ。「ほっかむり犬」と化し、朗らかに残暑の道をゆく柴犬との再会が楽しみである。
葉桜 こい
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