トップページ ≫ 社会 ≫ 特別企画 ~水のスペシャリスト下村政裕からのメッセージ~㉑
社会
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水道事業経営とは(Features of Water Supply Management)
~水道サービスの特徴~
前回、水道は「施設経営」あるいは「装置産業」であるとのキーワードを紹介いたしました。今回は、その水道という施設、装置を適正に経営していくための重要な要素、特徴について整理をしてみます。
水道事業経営の基本原則は、経済性の発揮と公共性の追及の調和をとることです。そして、水道料金収入のみにより事業経費の全てを賄う、独立採算の適用が原則です。更に浄水場や道路にくまなく埋設される水道管といった大規模な設備が地域に必要なため、地域的独占が容認されています。また、水道の持つ公衆衛生の確保という公共性の追求の観点からは、不採算な地域であっても、サービスをその地域の全ての人々に提供していかなければなりません。加えて、地域独占でありお客様は供給事業者を選べないという観点からは、どのような水道サービスレベルをお客様が望んでいるのかを十分に把握し、そのサービスを提供するための事業経費を、お客様に十分に理解していただいた上で、その事業経費を回収できる水道料金を設定し、お客様に納得してお支払いいただきながら、健全な事業経営を進めていかなければなりません。
次に水道サービスの特質を見てみますが、水道サービスは、地域の人々の日常生活や社会活動に必要不可欠なものであり、そのためには一番水が使われる時間帯に、その必要量を送り出せる水道施設の能力が必要です。かつ、大量の水を浄水場で処理をして、その水を水道管により配るという観点からは、その費用を極力抑えるために、なるたけ利用者に近接(浄水場や配水場)あるいは接続(配水管と給水管)させて供給施設を設置せざるを得ないという特質を持っています。これらの特質は、他の公共事業と比べても、経費を押し上げるものであり、かつこれらの経費は、給水量の増減に関係なく発生する固定費です。今後の人口減に伴い給水量が減り、水道料金収入が減る中で、額の変わることのない経費として、重くのしかかってくるものです。加えて、お客様の望む水道サービスの質を将来にわたって確保していくためには、施設寿命の延命を目的とした水道施設の適切な維持管理、あわせて適切な時期での更新整備が必要です。こうした莫大な資金を必要とするのが水道事業で、そのためには、超長期的な視点での財政基盤、技術基盤が重要なのは言うまでもありません。超長期的な事業計画を策定し、将来に渡る事業費用、収支見通しを明確にしていかなければならないということです。
こうした要素、特徴を持つ水道事業は、通常の民間の企業活動とは合い入れないものが少なからずあり、こうしたことが、水道法で、市町村営を原則とするとしている原点です。かつ、各水道事業者に、国が各都道府県を通じて、適切な現状分析、問題分析に基づく課題解決方策、経営基盤強化策を策定するとともに、それらを具体的に形にした超長期的なビジョンや、長・中期の財政計画を策定しなさいと指導している背景です。
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