トップページ ≫ 教育クリエイター 秋田洋和論集 ≫ 高校に入る前に親がしてはいけない82のこと 第2章 生活習慣のタブー(17)
教育クリエイター 秋田洋和論集
「なんでこんなことしなきゃいけないの?」と聞かれると腹が立つ
昔は「なんで?」と子どもが聞いても、「口ごたえするんじゃない!」と一蹴するのが普通でした。しかしそれでは、子どもがこれからの時代に対応できません。
ひと昔前まで、社会は「指示されたことを忠実に実践する人間」を求めてきました。大量生産・大量消費の時代は、同じものを短時間で効率よくつくることが、もっともよい仕事のやり方だったからです。スポーツの世界も同様で、理由や根拠を問うよりも、監督やコーチの命令に従うことのほうが大事でした。学校でも、用語や知識を丸暗記してその量を競い、結果が成績に反映されました。
現代は、それが一変しています。一般社会でもスポーツの世界でも、理由や根拠を問い、自分の頭で考えて行動に結びつけることが必要となっているのです。
「つべこべ言わずに、言われたとおりにやればいい!」
ではもう通用しない時代です。社会が成熟し、価値観が多様化した結果、単に「いいものを、安く」提供するだけでは不充分。商品やサービスに独自の付加価値が必要になっています。スポーツでも技術が進化し、練習量を積むだけでなく、従来の壁を乗り越えるような新しい発想やアイデアが求められます。
そういう社会の動きにともなって、学校でも「暗記力から思考力へ」「指示待ちから主体性へ」という学習内容に変化してきたのです。
ところが、そのような社会全体の変化があるにもかかわらず、いまだに「頭ごなしの指示・命令」を引きずっている場所があります。それが家庭です。
幼い頃であればいいのです。「言われたことをきちんとこなす」ことが子どもの目標でした。しかし、いつまでもそのスタンスを押し通すのではなく、徐々に子育ての目標をシフトしていく必要があります。とくに今後は、
指示された内容の理由と目的を理解し、次からは「言われる前に自分から動く」
という姿勢が大切になります。
「指示されたことを忠実にこなしてくれればよい」という接し方では、子どもをロボット扱いしているのと同じようなものです。家庭でも「なぜ?」を問い、「なぜ?」に答える雰囲気を大切にしてください。
「高校に入る前に親がしてはいけない82のこと」(PHP文庫)秋田洋和より
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