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1962年に公開された『秋刀魚の味』は小津安二郎監督が最後にメガホンを取った映画作品だ。秋刀魚が旬を迎えた今の時期に改めて観たくなる名作である。小津監督ならではの美意識が際立つ流儀「ローアングル」はカメラを低く固定した状態での撮影なので、例えば畳に置かれたビール瓶たちも、その一本ずつの存在が際立って感じられる。
この映画が公開された1962年は昭和37年。高度成長期である。日本の好景気の期間、昭和30年代はビールの生産量も増え、缶ビールが発売されて間もない頃。各家庭には冷蔵庫が普及をした。瓶よりも効率よく冷やせる缶入りビールの登場により、それまで外の店でしか味わえなかったビールは人々にとってより身近な飲み物へと変化していった。
厳しき夏の終わりに父とビールで乾杯をした。この時父は人を励ますため積極的に時間を割いていた。大事な役目が一段落した後、もう一度改めてビールを飲みなおした。適切に冷やされた清潔なビールグラスは、細やかな汗をかきながら前向きに輝いていた。このビールグラスは、昭和・平成・そして令和の長きに渡り、父がかいてきた幾つもの汗を改めて伝えてくれていた。もちろんこの日のビールが一際美味だったのは言うまでもない。
秋刀魚もビールも旬は秋。是非ともしみじみと堪能したい。
葉桜 こい
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