社会
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11月3日の新聞に秋の叙勲受章者が載っていたので、最上位のほうを見ていたら、旭日大綬章という項に旧知の2人の名前があった。元日本生命保険社長の岡本圀衛氏と前参議院憲法審査会長の柳本卓治氏。柳本氏は2017年4月22日付の当欄で、一見コワモテの印象を含めて紹介したので、ここでは埼玉県出身の岡本氏について記したい。
彼とは県立浦和高校の同期で、2年生では同級だった。クラスは努力家ぞろいで、怠惰な私も少なからず影響を受けた。岡本氏の勉強への打ち込みぶりも目立っていて、それをまったく苦にしていないようだった。それどころか茶目っ気があり、明るかったのは体力面で恵まれていたせいかもしれない。
ともに高崎線で通学していたので、帰りが一緒になることが多く、そんな時、勉強の話も出たが、小説、映画、音楽などに話題は及んだ。大学時代そして社会人になっても、高崎線車内で出くわすだけでなく、東京で飲食をともにすることもあった。仕事の話はほとんどしなかったが、高校時代同様、努力を重ねていることは察せられた。だから彼が役員に就任した時も驚きはなかった。
叙勲の報の数日前、東京新聞夕刊のコラムで趣味の城跡巡りを書いていたブラザー工業の小池利和会長が、岡本氏を「歴史探訪の師」としていた。かつて岡本氏直属の部下だった知人も、厳しくも適切な指示に感心しつつ、社内でのあるエピソードを紹介してくれた。話題がたまたま会津八一(1881~ 1956 美術史家、歌人、書家。奈良の古寺巡りをもとに美術研究や作歌)に触れたら、岡本氏が熱っぽく語り始めたというのだ。
趣味の幅が広いのは分かっていたが、この辺のジャンルまでとは知らなかった。調べてみると、『リーダーの本棚』(日本経済新聞出版社刊 2016年)に一文を寄せていた。もともと旅行が好きで、社会人になってから、文学作品の舞台になった場所を訪れた。寺社をはじめ、古城、古戦場、宿場など。特に会津八一の『自註鹿鳴集』に衝撃を受けたという。この本を携え、ひとりで大和路を歩く。これ以上のぜいたくはないとしている。
仕事だけでなく、旺盛な知的好奇心を抱いて好きな世界を逍遥する。彼がいつまでも若々しいのはこの辺に秘訣がありそうだ。
山田 洋
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