トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 世界に見直された日本人の気高さ
外交評論家 加瀬英明 論集
東日本大震災の被災者が、世界から称賛されたが、それは日本民族が受け継いできた、気高い精神が賛美されたのだった。
日本国民は、東日本が大震災と巨大津波に襲われるまで、かつてなかった、安楽で快適な生活を送っていた。
そのなかで、日本はしだいに活力を失い、閉塞感にとらわれるようになった。国民の多くが日本が行き詰ったと感じて、狼狽えている。
このように、日本が隘路にはまったのは、現在と未来だけに関心を向けて、先人から受け継いだ伝統文化を、おろそかにしていたためだった。
なぜか、過去よりも、未来が重んじられてきた。
過去を軽んじるだけでなく、過去は進歩を妨げると、みなされてきた。
未来という言葉が、無条件に明るいものになっているのに、いったいどこへ向けて進んでゆけばよいのか、分からない。きっと、未来が軽く、過去は重いからなのだろう。重いものは、厄介だ。
そのために、現在という頼りない時間しかない。社会がいつも漂っているように感じられるのは、今という時間だけしか大切にしないために、過去が厚みを欠いていたためである。
私たちは、現在しかない文化をつくりだしている。しかし、過去は再体験することによってのみ、生かすことができる。
伝統は本に何が記されているとか、博物館に何があるかということではない。人々が、先人たちの慣習を守って、どれだけ過去を再体験するかということに、かかっている。
先人が伝えてくれた伝統精神が培った、古い日本を好きになれば、日本に対する責任感が湧いてこよう。
東日本大震災によって、日本人が気高い民族であることが、世界によって理解された。
しかし、天災に見舞われたときだけ、日本人のよいところが現れるのではなくて、平時においても、日本人は素晴らしいという評価に、変えていかなければならない。
ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたか 10章 いまこそ心の復興を
バックナンバー
新着ニュース
- エルメスの跡地はグッチ(2024年11月20日)
- 第31回さいたま太鼓エキスパート2024(2024年11月03日)
- 秋刀魚苦いかしょっぱいか(2024年11月08日)
- 突然の閉店に驚きの声 スイートバジル(2024年11月19日)
- すぐに遂落した玉木さんの質(2024年11月14日)
特別企画PR