文芸広場
俳句・詩・小説・エッセイ等あなたの想いや作品をお寄せください。
サーチライトのように
バーテンの視線が
客を照射していく
あのキリマンジャロの頂きまで
のぼりつめ息絶えた一匹の豹
ふもとの小さなバーで
バーテンがポツリと語った
「生きることを極めたかったんだね、きっと」
私はヘミングウェイの小説の場面を
じっと思い浮かべていた
都会のネオンの輝きは決して届かない
古ぼけてしまって歴史だけが何かを
語りかけようとしている地下三階のバー
カチッ。コロン。ガチン ゴロロ
ジンライムの氷が疲れた四本指に支えられたグラスの底に
崩れていく
傷の多い人生・・・このグラスの氷のように・・・。
時と共に氷は溶け去りファイアオパールに似た
深い沈黙の湖を重く透き通った
グラスの中につくっていく
都会のネオンの海の底に
世界で一番小さな私だけの湖
鹿島修太
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