トップページ ≫ 社会 ≫ 浦高ラグビー花園出場をめぐる明と暗
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12月27日から東大阪市の花園ラグビー場で行われる全国高校ラグビー大会に、埼玉県予選で優勝した県立浦和高校が出場する。6年ぶり3回目の快挙だが、最初の出場は60年前だ。
先日、「祝 全国高校ラグビー大会出場」と印刷された郵便物が同校卒業生のもとに届いた。発信元は「浦高ラグビー部全国大会出場特別後援会」となっていて、同校同窓会が主体のようだ。大会出場にともなう派遣費用を補助するカンパの依頼で、振込用紙も同封されていた。
受け取ったOBたちが戸惑ったのは、もう1枚、「浦高ラグビー部事故受傷者を支える会」のチラシが入っていたことだ。6年前の全国大会出場を決めた県予選決勝で頸椎を損傷した選手と、5年前に練習試合でやはり頸椎を損傷した選手を支援する義援金を募るものだ。2人とも車いすが必要だが、リハビリと勉学に励み、6年前の負傷者は大学に進み、就職も決めたとのことだ。
花園出場の資金カンパだけでなく、過去の重大事故の受傷者への支援も訴えているところにラグビー部後援者たちの配慮が感じられる。同時にラグビーというスポーツにつきまとう危険性を実感させられ、手放しで花園出場を祝う気にはなれない。
今年はワールドカップが日本で開催され、日本チームの活躍もあって、空前のラグビーブームが到来した。テレビで見ていても15人対15人の激突には興奮させられた。反面、それなりの体格でないと試合で通用しないと思えた。日本代表チームでさえ、みんな体重100キロ以上だ。全力で走る相手への猛タックル、スクラムを組んで集団での押し合い。それに耐えるにはプロレスラーや力士並みの頑丈さが求められよう。日本チームの中に多くの外国出身選手が入っていたが、大型の彼らなしには今回の成績は無理だったはずだ。
浦和高校は全国有数の進学校でありながら、スポーツを奨励し、1950年代にサッカーで全国制覇を続けるなど輝かしい実績を残した。そして今はラグビーが脚光を浴びているが、危険性に目をつぶって応援するのにはためらいがある。また、同校では今年の全国大会に出場したチームはラグビーだけではないのだ。世のラグビーブームに安易に同調するのは、賢明な浦高OBらしくはないと思うのだが。
山田 洋
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