トップページ ≫ 外交評論家 加瀬英明 論集 ≫ 『方丈記』が教えてくれること
外交評論家 加瀬英明 論集
鴨長明(1155年頃~1216年)といえば、平安末期から鎌倉時代にかけての歌人で、京都に住んでいたが、元禄2(1185)年に、大地震に見舞われた。いまから、826年前のことである。
長明は『方丈記』のなかで、こう描いている。
「そのさま、世の常ならず。山は崩れて河を埋み、海は傾きて陸地をひたせり。土さけて水わきいで、巌われて
谷にまろびいる。渚漕ぐ船は波にたゞよひ、道ゆく馬は足の立ちどをまどはず。都のほとりには、在々所々、
堂舎塔廟、ひとつとして全からず。(略)
走り出づれば、地われさく。羽なければ、空をも飛ぶべからず。竜ならばや、雲にも登らむ」
そして、大地震によって人々の「心の濁りもうすらぐと見えしかど」-俗世の欲によって濁った、日頃の心根が正されたようにみえたが、復興が進んで、「月日重なり、年経にし後は」、元に戻ってしまったと、嘆いている。
宗教も、市場経済が発展して、個人の嗜好によって、自由に商品を買うことができるように、選べるようになった。自由経済のグローバリゼーションにともなって、世界のさまざまな宗教が、商店の棚に並ぶようになっている。
癒しを求める人々が、宗教という商品を、自分の好みに合わせて求める時代になっている。健康食品に似ているのかもしれない。
だが、神道は信仰するものではなく、他の宗教と違って、心のもちかたであるから、宗教ではない。
神道は、人と、山や、森や、川や、あらゆる生物と国土をいのちとしている。すべての宗教に「教」がついているが、古道とも呼ばれた神道は、いのちの尊さを説くものだから、「道」なのだ。
日本の青年たちに、日本を好きになってほしい。 完
ジョン・レノンはなぜ神道に惹かれたか 10章 いまこそ心の復興を
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