トップページ ≫ 社会 ≫ 仕事とは何か、急速に進む働き方改革を前に考える
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
大手企業を中心に働き方改革の促進が急速に動き始めた。テレオフィスによる在宅勤務の推進やフレックスによる柔軟な勤務時間の設定などがその代表例となる。先日2月25日に電通や資生堂などで数千人規模の在宅勤務を実施することが発表された。まずは当面との発表内容で、社会実験的性格も有していそうだ。
猛威をふるうコロナウィルスが一向に収束する気配を見せぬ中、これから3月前半にかけての流行度合が今後も拡大の一途を辿るのか、また収束に向かうのかの分水嶺と言われている。その対策として不要不急の外出自粛や、会合やコンサートなど長時間不特定多数の人が同じ場所に集まる行事は極力避けるようにとの要請が出た。今回のこの各企業における矢継ぎ早の勤務体系見直しの発表の背景には、通勤時の電車や、勤務中会社内で同様に人が大勢集まる状況を極力少なくしたい国の意向に呼応した動きに見える。また先の見通せない状況ではあるものの、東京オリンピック開催に伴う多くの外国人の訪問を控え、東京中心部における公共交通機関での移動時の混乱を、最小限に留めたいとの国の意向に対する配慮も同時にうかがえる。
今回のコロナウィルスの一刻も早い収束、社会不安の払拭を願うばかりだが、冒頭の働き方改革についてはそれとは腑分けした冷静な対応も同時に必要ではないか。各企業の成り立ちの違い、また同じ企業内においても部門毎に対応の違いが必要となるケースも当然の如く想定される。恐らく全社一律を基準とした改革の推進ではむしろマイナス面が多いという結果もあり得る。また仮に企業単独では推進可能なインフラが既に整っていたとしても、外部の顧客・利害関係者それぞれの置かれた状況には違いがあり、自己の都合だけで進められるものではない。
眼下の社会状況を踏まえると、今後も様々な企業で前記の電通・資生堂の事例に追随するケースが多く出てこよう。それはそれとして、働き方改革についてスピード一辺倒の進め方では、仕事の質と効率化を同時に実現させるという本来の目的を見失ってしまうことにもなりかねない。仕事とは何か、改めて社会全体・企業・そして就業者個々が自らに問いかける必要がある。横並び意識からの脱却、この件に限ったことではなく、我が国のいまにとって大変重要なキーワードとなりそうだ。
小松 隆
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