社会
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「今一度日本を洗濯致し候」は、幕末のキーマンこと坂本龍馬の有名な名言である。数多くの手紙を綴っていたという龍馬のこの言葉も、もとは姉の乙女宛に、言うたちいかんちや、と密かに綴られた手紙の中の一文だった。今や「日本を洗濯するぜよ」という言い方で人々に広く浸透しているが、龍馬の類い稀なリーダーシップが時を超えて支持されるのも頷ける。
令和初の弥生の月が満ち始めた夜のこと。コインランドリーに貼られたポスターを見ると「この国を、守り抜く。」の文字が飛び込んできた。それは自民党2017年のキャッチコピーだった。色褪せたポスターの中の我が国のリーダーは比較的前向きに見えた。2017年以降、新しく貼り替えはされていない。ちなみにその2年後の2019年のキャッチコピーは「日本の明日を切り拓く。」だった。
コインランドリーを後にした翌晩の3月6日は「第43回日本アカデミー賞授賞式」だった。今年は新型コロナウイルス感染症予防の一環として、無観客での開催となった。既に各賞を総なめにしていた『翔んで埼玉』は終始、式そのものを盛り上げていた。優秀主演男優賞受賞のGACKTさんが完璧に演じた麻実麗に今一度注目したい。
名門白鵬堂学院にやってきた転校生の麻実麗は「埼玉解放戦線」のリーダーだった。今までさんざん馬鹿にされてきた埼玉県人たちに麗は問いかける。「お前たち本当にそれでいいのか?お前たちには埼玉を守ろうと言う埼玉愛はないのか?」。迫力満点のシーンである。麗は嘆きながら続ける。「埼玉県人が何て呼ばれてるか知っているか?」。麗は埼玉のディスられ方(馬鹿にされ方)をあらわす「ださいたま」を含む、他の「○○さいたま」すなわち「くさいたま、うさんくさいたま」など、数々の屈辱的な文言を19連発で言い放つ。このシーンにより麻実麗のリーダーシップは最高潮に達し、県人たちの心もまとまり、埼玉にたちこめていた重たい霧も晴れていった。
日本アカデミー賞授賞式の数日後は朝からどんよりとした空模様だったが、夜間には雲間から見事な満月が顔を出した。坂本龍馬も愛した南国土佐の桂浜は、言わずと知れた月の名所である。龍馬も夜毎、土佐の月を愛でながら、より良い日本の未来の構想を練り続けてきたことであろう。混沌とした不安に溢れ閉塞した令和の上空に、おおらかに、そして鮮やかに浮かび上がった月。その輝きからは、乱世に対する注意の喚起、そして何よりも現状打破を促す充分なメッセージが発せられており、まるで筆まめなリーダー龍馬から現代人に届いた一通の手紙のようだった。
葉桜 こい
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