社会
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桜の命を「花二十日」と呼ぶことがある。「蕾七日、咲いて七日、散って七日」。およそ二十日間かけて夢のような春の時を彩り尽くすからだ。
3月14日に、観測史上最速の桜の開花宣言があったのも束の間のこと。季節は確実に移り変わっている。今年は、ささやかな桜詣(さくらもうで)をすると決めていた。埼玉県内に、気がかりな桜の歌が掲示されている場所があり、是非その歌を確認しに行きたかったのだ。ところが、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、イベントの多くは自粛や中止が相次ぎ、楽しみだった桜詣も見送らざるを得なくなった。政府の新型コロナウイルス対策は後手後手と言われてきたが、桜前線は実に先手先手。ステイホーム週間突入直前のニュースでは、北国の桜も晴れて開花したことを知り喜ばしい限りだった。
今まで「痛いの痛いの飛んでゆけ」と言いながら優しく患部に触れ寄り添うことは、手当ての基本中の基本であると信じてきた。しかしながら、こと感染症においては距離こそが要注意点であり、直接手を触れることはご法度なのだ。入院中も原則的には面会そのものが出来ない。感染症予防のため、人と人との間にあえてソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つよう注意換気がされていることからも、感染症との向き合い方が、いかにデリケートなものであるかがうかがい知れる。感染された方々には励ましを、またこの緊迫した国難を陰に日向に支えて下さっている方々には、微力ながら感謝の意を伝えていきたい。
感染症における距離の壁は、時に厚く時にもろくもどかしいものだ。しかしそうした中、頼みの綱となってくれる花が桜なのだ。桜は、人と人の間にふわりと訪れ、はがゆい距離の壁の間隙を縫う事が出来る、特別な救世花である。より優しく、より懸命に人々を見舞いながら、足早に散っていった令和初の桜を私は決して忘れない。
葉桜こい
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