トップページ ≫ 社会 ≫ 違和感を禁じ得ない現下の監視社会的動き
社会
特に埼玉県、さいたま市の政治、経済などはじめ社会全般の出来事を迅速かつ分かりやすく提供。
地域によってコロナ感染者発生状況の違いが大きくなり、対策レベルについても差が出てきている状況だ。緊急事態宣言よりはや一ヶ月以上が過ぎ、肉体的、精神的疲労も積み重なり、相当なストレスを抱え込んでいる人も多い。
そうした中でさながら自警団のような人々の動きが目立ち始めている。コロナ感染者に対してその行動を遡って行われるバッシングは執拗だ。またホームセンターなどでの他府県ナンバーチェックなども頻繁に行われているようだ。しかしである。たまたま目にとまったマスク未着用の人や、パチンコ店に行列をなす人などを、ネット上で糾弾することに意味はあるのだろうか。
ナチスドイツや旧ソ連、東独などのファシズム・社会主義国家においては党の方針に沿わない思想・行動に対して密告が頻繁に行われていた。さながら党に対する絶対的忠誠心を各々が無条件に競い合うかのように。またそこにはそうした流れに唯々諾々と従っている自分とそれに抗っている人に感じる自尊心の傷つき、負い目、嫉妬、許せないなどの感情がないまぜになっていたようにも感じられる。
現在のこうした自発的正義感にかられた一部社会の動きには、決まった流れに同調しない他者全般に対する不寛容さが感じられてならない。上記事例との置かれた状況、また質的違いはかなり大きいとしてもである。
有名なミシェルフーコのパノプティコン。どこかで誰かに見られているかも知れないとの疑心暗鬼から各人が自発的に相互監視を始め、もっと進めばその考え方にまで制約をかけあうことともまた同質な動きにも見える。
今や技術的にはこのパノプティコン的世界が実現可能な時代に私たちは存在している。合理的・合目的的考え方を個人の指針とすることは極めて大切だ。そうした共通項を持ちあわせる人の多い社会なら、お互いの立場、意見を擦りあわせることの出来る場が確保されるからだ。しかしそれでもなお個人の範疇を飛び越えて、他者に対してその考え方を絶対的正義として振りかざすことには反対する。
こうした動きはいつの日か有事のみならず、平時にも襲い掛かってくる可能性があるからである。同調圧力には際限がない。ひとたびそれが当然と受け止められる社会になってしまえば、もはやそれを制御することは不可能となってしまう。危機的状況下において、必ずや登場してくるこの忠誠心の競争的動きには細心の注意が必要だ。
小松 隆
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