なでしこ便
女性ならでは眼コミ、口コミ、スパイシー語録
今や生活必需品となったマスクも、だいぶ種類が増えた。爆弾低気圧の予報もある今季は特に、あたたかなニット素材も好評だ。
私の編み物の師匠は祖母で、かぎ針編みの達人だった。おしゃれで楽しい作品たちが、現代社会を生きる人々にも広く受け入れられるであろうことは間違いない。
かぎ針編みをしていると特に、祖母の編み物のリズムが蘇って来る。歌で言うならば、合唱や輪唱をしているような一体感を、時を超えて得られることもある。
戒名に「厳」という文字を持つ祖母は、実際にも厳しさを持った人なので、熱い気合を入れてもらうには、うってつけの存在だ。
数カ月前のこと。愛すべき厳しい師匠から「もっと上達したかったら、編み物をほどいてごらん」と指導された気がした。そこで意識的に、丁寧にほどく作業を何度も試みた。毛糸で編んだ作品を、あえてほどいてチェックすることにより、自分の長所や短所、編みグセを改めて振り返ることが出来、とても嬉しかった。
毛糸は正直だ。きつく編み過ぎれば当然、ほどきづらくなる。不機嫌にひきつれた毛糸を落ち着かせるためには、それなりに根気が要る。焦らず、まずはひと呼吸置くことが大事だ。呼吸を整え、ある程度の力を抜くと、必要な分の力が有効に使えるようになる。どんなに不機嫌だった毛糸も、ふっとほぐれてくれるというものだ。
黙々と編み物をしていた祖母。その真剣な沈黙の中には、熱い心意気が宿っており、正に語るべき姿と言えた。あたたかき永遠の鬼師匠はニットの女神だ。そんな女神様の隣にいられた、幼い頃の静かな記憶は、色あせるどころか、むしろ色を深めている。
葉桜こい
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