一日で一番良い時は朝である

日の出前から小鳥が話している

この地上に初めての朝があった日のことを

一日で一番良い時は昼である

光りは地上だけでなく

水の底まで届き命が溢れかえる

昼の世界があるのは夜の世界があるからです

真昼　夜の生き物達は赤い目を閉じて眠っている

一日で一番良い時は寝る前である

今日のことは今日で終われり

蟻の一日があり人の一日がある

星が次々現れやがて満天に輝く

大勢いる時は一番良い時

昔からライオンの口、熊の爪をもたない人間は

群れで助け合ってきた

一人の悲しみは百人の悲しみ

一人の喜びは百人の喜び

思いがこみ上げた時、人は祭りの中にいた

昼の祭りがある　夜の祭りがある

人の世には昔から祭りが続いている

人が二人しかいない時は対話の時

人は日々対話で暮らしているのだ

対話は簡単なものほどいい

「見て、今日は満月だよ」「まあ・・・」

「大丈夫？」「大丈夫だよ」

人が誰もいない時は誰と対話するのか

闇の中で私は見えないものを思い出す

人はみなこの国のものとはかぎらない

私は鳥になって夢の国に旅立つ

山上村人